2001 Fiscal Year Annual Research Report
前頭側頭型痴呆(運動ニューロン疾患型)神経細胞内異常蓄積蛋白の解析
Project/Area Number |
13770549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
川島 敏郎 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (90325605)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭型痴呆 / 神経細胞内封入体 / 新線状体 / ユビキチン / 運動ニューロン疾患 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis ; ALS)では2種類のUbiquitin化神経細胞内封入体が出現することが知られている。われわれはそのうち新線状体にみられる糸状封入体(Skeinまたはskein-like inclusion)が疾患特異的なものではないことを既に明らかにしているが(Acta Neuropathol,100:43-49,2000),もう1つの円形または三日月型封入体(spherical or crescent-shaped inclusions ; SCI)の疾患特異性については未だに不明である。これを明らかにすると同時にSCIの分布と臨床所見との関連について調べるため,24例のALS脳と94例の正常対照脳の脊髄前角,海馬傍回,海馬歯状回,扁桃体,新線状体についてSCIの出現を検討した。新線状体のSCIはALS症例の54%で認められたのに対して,対照脳では1例も見いだせなかった。ALS症例において,罹病期間,前頭側頭型痴呆(Frontotemporal dementia ; FTD)の有無と新線状体にみられるSCIの量に関連はみられなかった。一方海馬傍回皮質第2・3層と扁桃体のSCI出現量と痴呆の存在には有意な相関が認められた。海馬傍回,海馬歯状回および扁桃体の3つの部位におけるSCIの出現量は互いに相関していたが,脊髄前角と他の検索した部位との間には関連はみられなかった。今回の結果は検索した脊髄前角,海馬傍回,海馬歯状回,扁桃体および新線状体のすべての部位でALSに関連する神経変性が起こっていることを示唆している。またSCIの出現部位がALSの疾患特異性,または認知障害すなわちFTDと関連していることは,ALSの神経変性過程が運動ニューロンと非運動ニューロンでは異なって進行することを示すと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Toshiro Kawashima: "Cognitive dysfunction in patients with amyotrophic lateral sclerosis is associated with spherical or crescent-shaped ubiquitinated intraneuronal inclusions in the parahippocampal gyrus and amygdala, but not in the neostriatum"Acta Neuropathologica. 102・5. 467-472 (2001)
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[Publications] Toshiro Kawashima: "Apoptotic bodies in the cerebellum of Japanese patients with Creutzfeldt-Jakob disease"Pathology International. 51・3. 140-144 (2001)
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[Publications] 川島 敏郎: "プリオン病の現在"精神医学. 44・1. 8-23 (2002)