2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形性症候群の免疫学的機序による血球減少症に関与するT細胞の解析
Project/Area Number |
13770588
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岩部 弘治 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70312030)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / T cellレセプターVβ / CDR3領域 / レパトア解析 |
Research Abstract |
近年、再生不良性貧血に効果が認められるシクロスポリンや抗胸腺細胞グロブリン(ATG)といった免疫抑制剤が、MDS(特に不応性貧血)の血球減少に対しても有効性を示し、注目されている。このことはMDSについてもその病態に免疫学的な機序が関与していることを示唆しているものと考えられる。我々はMDSの病態にクローナルなT細胞が関与している可能性について明らかにすることを目的として実験を行っている。 【方法】 MDS(RA)患者の末梢血、骨髄液のリンパ球細胞からRNAを抽出し、RT-PCR・SSCP法にてCDR3領域のレバトアの解析を行う。特定のVβ遺伝子を発現しているT細胞のクローナルな増殖が示唆された場合、そのVβ陽性T細胞のCDR3領域の塩基配列、アミノ酸配列を確認し、クローナルなT細胞の存在を確定する。 【患者】 骨髄異形成症候群の不応性貧血(RA)で、他の疾患の合併がなく、血液・骨髄採取時に明らかな感染が認められない11症例を解析対象とした。11症例のうち、10例は末梢血・骨髄の両者を、1例は末梢血のみを解析した。 【結果】 全例の末梢血、骨髄においてオリゴクローナルなT細胞の存在を示すバンドが認められた。同時に採取した末梢血・骨髄の両者を解析した10例のうち、3例は骨髄においてより著明なバンドが認められたが、その逆に末梢血においてより著明なバンドが認められる症例はなかった。このことは、MDSにおいて骨髄を主な場所とした免疫学的機序の存在を示唆していると思われる。また、シクロスポリンが有効であった1例において、投与後に一部のVβ subfamilyでクローナルなT細胞の存在示唆するバンドの消失が認められた。このことは本疾患に見られる血球減少に疾患特異的なクローナルなT細胞が関与している可能性を示唆しているものと考えられる。今後さらなる解析を進める予定。
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