2001 Fiscal Year Annual Research Report
腎線維化進行過程におけるTGF-beta、HGF相互作用の解析と抗線維化治療への応用
Project/Area Number |
13770603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
友利 浩司 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40333471)
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Keywords | transforming growth factor beta / hepatocyto growth factor / connective tissue growth factor / トランスジェニックマウス / 腎間質線維化 / 5 / 6腎摘 / 共培養 |
Research Abstract |
1、我々はこれまで、野生型のマウスに腎線維化が生じにくいのは、慢性的な腎障害の際に増加するTGF(transforming growth factor)-betaの作用に、内因性のHGF(hepatocyto growth factor)が拮抗している可能性があると報告してきた。この仮説を証明するためTGF-betaトランスジェニックマウス5/6腎摘モデルを作製した。同マウス残存腎の検討では、腎摘後4週目以降のTGF-beta発現増加に伴って、尿細管上皮にCTGF(connective tissue growth factor)が誘導され、1型コラーゲンの発現増加が生じ、腎間質線維化の著明な進行が確認された。同マウスに抗線維化作用を持つと予想されるHGF(hepatocyto growth factor)を投与した結果、残存腎におけるTGF-betaの発現には有意な変化を認めなかったが、CTGFの発現が著明に減少し、1型コラーゲンの発現増加も生じず、腎線維化の進行が抑制された。TGF-betaとHGFの作用バランスが、CTGFの発現変化を介して、腎線維化進行を決定している事が明らかとなった。また、HGFの腎線維化治療薬としての可能性が示唆された。 2、In vivoで観察されたTGF-beta、HGF、CTGFと1型コラーゲンの作用連関について、さらに詳細に検討するため多種のサイトカインに感受性がある尿細管上皮細胞と、コラーゲン産生能のある間質線維芽細胞の培養細胞下部を用いて共培養系を確立した。TGF-beta刺激時、尿細管上皮細胞でCTGFの発現が増加し、間質線維芽細胞で1型コラーゲンの発現も亢進することを確認した。今後、HGFの作用を1型コラーゲンの産生と分解の両側面から検討するため、培養上清中のcollagenase活性およびコラーゲン蛋白の測定系を確立中である。
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