2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化LDLによるプロテインキナーゼCの活性化に及ぼすパラオキソナーゼの抑制効果
Project/Area Number |
13770648
|
Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
池田 幸雄 高知医科大学, 医学部, 助手 (60281185)
|
Keywords | 血清パラオキソナーゼ / 酸化LDL / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
本計画の遂行にあたり、平成14年度に得られた研究成果は以下の通りです。 1.酸化LDLによるPKC活性化の検討 平成13年度に確立したプロテインキナーゼC(PKC)アイソフォーム特異的活性測定系を用いた検討により、酸化LDLによって、大動脈平滑筋細胞においてはPKCαおよびPKCδの活性化が、血管内皮細胞においてはそれらに加えてPKCβの活性化が起こることを明らかにした。 2.PONの機能解析-PONは酸化LDLによるPKC活性化を抑制するか- 酸化LDLによるPKC活性化がパラオキソナーゼ(PON)により抑制されるか否かを検討するために、大腸菌を用いて数種類の長さの異なるPON recombinant蛋白を作成したが、不溶性で添加実験に使用することはできなかった。次に、哺乳動物細胞および昆虫細胞を用いて同蛋白を作成したが、発現量が不十分で実用化に至らなかった。このため、PONが存在する高比重リポ蛋白(HDL)を超遠心機で分離し、実験に用いた。その結果、HDLは酸化LDLによるPKCアイソフォームの活性化を抑制することを明らかにした。 3.PKCβ遺伝子多型と動脈硬化 糖尿病血管障害に関連すると考えられるPKCβ遺伝子の5'上流に5つの遺伝子多型を見い出し、このうち互いに連鎖不平衡にあるC(-238)G、C(-287)TおよびA(-348)G多型が、糖尿病大血管障害、特に虚血性心疾患に関連することを明らかにした。 4.総括 酸化LDLは、血管組織においてPKCα,β,δアイソフォームを活性化し、HDLの抗酸化作用を担うPONは、PKC活性化を抑制する可能性が高い。今後、PON合成の調節機序を解明することが、糖尿病血管障害の進展抑制のための創薬につながる可能性がある。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Yukio Ikeda: "A polymorphism in the upstream region of the PKC β gene is associated with macrovascular diseases in Japanese patients with type 2 diabetes"Atherosclerosis. 3. 129 (2002)
-
[Publications] Fumiaki Osaki: "A role of Sp1 in regulation of human serum paraoxonase gene transcription"Atherosclerosis. 3. 177 (2002)
-
[Publications] Yukio Ikeda: "Relationships between polymorphisms of the human serum paraoxonase gene and insulin sensitivity in Japanese patients with type 2 diabetes"Diabetes Res.Clin.Pract.. (in press). (2003)
-
[Publications] Tadashi Suehiro: "Serum paraoxonase (PON1) concentration in patients undergoing hemodialysis"J.Atheroscler.Thromb.. 9. 133-138 (2002)
-
[Publications] Yukio Ikeda: "Cellular mechanism of nutritionally induced insulin resistance in Psammomys obesus: Overexpression of protein kinase Cepsilon in skeletal muscle precedes the onset of hyperinsulinemia and hyperglycemia"Diabetes. 50. 584-592 (2001)