2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化の抑制と各種成長因子による細胞形質転換の抑制、抗癌剤耐性機構の克服
Project/Area Number |
13770672
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 真悟 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80317156)
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Keywords | methylation / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
[背景]近年、DNA methylationと遺伝子の発現制御との関連が注目され、mdrなどの抗癌剤感受性因子との関連も報告されてきた。[目的]われわれはDNA methyltransferase(Me Tase)に対するantisense oligonucleotide(AS/MT)を作成し、DNA demethylationが及ぼす5-FU及びCDDPへの感受性変化を検討した。[対象と方法]胃癌細胞株TMK-1,MKN-45,MKN-74を用いた。2.5μMのAS/MTまたはnonsense(NS/MT)と前処置した後5-FU(1〜100μg/ml)またはCDDP(0.5〜50μg/ml)に接触させた。抗癌剤感受性の判定はMTT assayまたはBrdU uptake incorporation assay(BrdU assay)を用いた。AS/MTの配列は5-TCTATTTGAGTCTGCCATTT-3とした。NS/MTの配列は5-TGTGATTCTCCTTATTCGA-3としてAS/MTの塩基配分と同様に作成した。また、5-FUの感受性因子としてTS mRNA・DPD mRNAの発現を、定量的PCR法を用いて測定した。[結果]MKN-45において、BrdU assayで、対象群に比較してAS/MT群で21.7%(5-FU=1μg/ml)の増殖抑制効果が認められ、AS/MTによる5-FU感受性の増強が確認された。TS mRNA・DPD mRNA発現の検討ではAS/MTにより、TS mRNAは無処置群に比較して54.5%に低下した。一方、DPD mRNAの変化は認められなかった。CDDPへの感受性に対するAS/MTの効果は、MTT assayによる細胞生存率がTMK-1で8.9%低下し(CDDP=5μg/ml)、MKN-45で23.3%に低下した(CDDP=0.5μg/ml)。[結論]AS/MTが惹起するDNA methylation修飾により、胃癌細胞株の5-FU及びCDDP感受性が増強することが示唆された。今後、この成果をふまえ、in vivoで効果を確かめる予定である。
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