2001 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子受容体を標的とする組換え型イムノトキシンを用いた免疫ターゲッティング
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13770682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
篠原 尚 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70319549)
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Keywords | 胃癌 / 特異的免疫療法 / 抗体療法 / 分子標的治療 / 増殖因子受容体 / イムノトキシン / HER2 |
Research Abstract |
近年,分子標的治療の発展が目覚しいが,本研究では,いわゆる癌特異抗原のうちでもモノクローナル抗体の標的となりやすい増殖因子受容体の免疫ターゲッティングを用いた,胃癌の新たな抗体療法の可能性を検討中である。胃癌の悪性度に相関する増殖因子受容体としてはEGFR(HER-1),HER-2/neu, c-metなどが知られている.このうちHER-2/neuの過剰発現は高分化腺癌でみられ,転移能が高く予後不良である。今回我々は,HER-2/neuに対するモノクローナル抗体の遺伝子配列からFv領域をコードするDNA断片のみを分離精製してプラスミドベクターにサブクローニング,得られたプラスミドで大腸菌を形質転換し,緑膿菌外毒素(Pseudomonas exotoxin, PE)に連結した組換え型イムノトキシンerb-38[e23(dsFv)PE38]を精製することに成功した。HER2高発現胃癌細胞MKN-45Pに対するerb-38のIC_<50>は4ng/mlで,HER2発現レベルの低いMKN-45(IC_<50>=40ng/ml)の10倍高感受性であった。対照細胞として用いたHER2-/CD22+Burkitt's lymphoma細胞Rajiに対しては殺細胞性をもたなかった。一方,対照イムノトキシンanti-CD22はRajiに対してIC_<50>=3ng/mlと高い殺細胞性を示したが,いずれの胃癌細胞に対しても殺細胞性をもたなかったことから,erb-38のHER2高発現性胃癌細胞に対するin vitroでの特異的細胞傷害活性が証明できた。癌特異抗原の同定に伴って再評価されている抗体療法や細胞療法といった特異的免疫療法は,いわゆる個別化医療の究極の形と考えられるが,抗体治療のうちでもmAbを細胞障害物質の腫瘍までのキャリアとして用いるイムノトキシンにはより確実な抗腫瘍効果が期待できる。しかし組換え型抗増殖因子受容体イムノトキシンの治療効果は生体の臓器微小環境によって修飾される可能性があるので,今後は肝転移,リンパ節転移,腹膜播種性転移など,臨床胃癌でみられる種々の転移形式を想定したマウスモデルでのvivo実験を進めたい。
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Research Products
(1 results)