2002 Fiscal Year Annual Research Report
移植前グラフト内高濃度免疫抑制剤灌流による小腸移植の成績向上に関する研究
Project/Area Number |
13770685
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宮澤 秀彰 秋田大学, 医学部, 助手 (10323148)
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Keywords | 小腸移植 / 高濃度免疫抑制剤灌流 / 免疫寛容 |
Research Abstract |
肝腫瘍に対する抗癌化学療法として、抗癌剤の全身投与よりも肝動注化学療法が、高濃度の抗癌剤が肝内に灌流されることにより副作用も少なく有効であると報告されているが、同じ原理で、小腸グラフトにのみ高濃度のFK506を灌流させることで、免疫抑制剤投与による感染症が問題にならずに拒絶反応の制御が可能になるとの仮説のもと、以下の実験を行った。 【方法】純系ラットBN to LEWでの同所性全小腸移植で移植後高濃度のFK506を投与し、その後別の純系LEWラットに同じ小腸グラフトを再移植した。実験群として、(a)対照群;FK506を0.15mg/kg/day 14日間投与。(b)再移植群;FK506を2.0mg/kg/day投与し、別のLEWに同じ小腸グラフトを再移植し、再移植後FK506を0.15mg/kg/day 14日間投与、を作成した。【結果】前年度までの実験で、小腸グラフトを再移植する手技を確立した。生存日数の中間値は、各群n=6で、対照群43.5日、再移植群では、初回移植後から再移植までが24時間では48.5日、3日後では55.5日で、対照群と比べ生存日数は延長する傾向にあった。本年度は、再移植までの期間を7日、14日と延長し検討した。その結果、生存日数の中間値はそれぞれ52日,および49.5日で再移植群はいずれも対照群と比較し生存日数は延長する傾向にあったが、有意差はなかった。また再移植群の中の各群間で有意差はなかった。また免疫染色で、高濃度のFK506で灌流したあと通常量の免疫抑制剤を投与した場合のグラフトの経時的な変化を調べたが、特に対照群と再移植群との間で差を認めることはできなかった。 有意差はなかったが、移植後高濃度のFK506を投与することで生存日数は延長する傾向にあり、小腸グラフトにのみ高濃度のFK506を投与することで、拒絶反応を軽減できる可能性が示唆された。
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