2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
萬田 緑平 群馬大学, 医学部, 助手 (70332559)
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Keywords | 食道癌 / ミトコンドリア / DNA mutation / esophageal cancer |
Research Abstract |
【目的】ミトコンドリアDNA(mtDNA)は全長16,569bpの環状二本鎖DNAよりなり、その全塩基配列が決定されている。また、mtDNAは変異を受けやすい。癌の発生及び進展過程におけるミトコンドリアDNA変異の意義を食道癌臨床検体にて検討した。 【方法】当科の食道癌臨床検体癌部、非癌部のペア59検体からのDNAを材料とし、mtDNA(16,569bp)のうち、コードDNAを欠く唯一の領域であり、転写開始点であるD-loop領域(1119bp)にプライマーを設定し、ABI310シークエンサーにてこの領域のDNA配列を解読した。変異は癌部非癌部のシークエンス波形パターンをで直接対比し、検討した。また臨床病理学的データとの相関も検討した。【結果】全長16,569bpの内、D-loop領域(1119bp)のシークエンスのみの解析にて59検体中6例(10%)のDNAに変異を認めた。6例中4例はheteroplasmic、2例がhomoplasmicなパターンであった。予後、臨床病理学的データとの相関はなかった。【総括】mtDNAの変異検索は直接シークエンスだけで同定できるため、SSCP法などを用いた核DNA(p53等)の変異の検出に比べて容易である。また、食道内多発病変、Dysplasia、上皮内癌、浸潤癌部などでのミトコンドリアDNA変異の検索を進めることにより、癌の発生及び進展過程におけるミトコンドリアDNA変異の意義が検討できると思われる。さらに、各変異に相当するプライマーを設定することにより、体液中(血中、リンパ節、胸水等)での微小転移診断(オーダーメイドの転移検索)やfollow upに利用できると考えられ、この方法は癌検出においての強力な診断マーカーとして役立つと考えられる。
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