2002 Fiscal Year Annual Research Report
Lckペプチドを用いた転移癌ワクチン開発の基礎および臨床研究
Project/Area Number |
13770724
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
峯 孝志 久留米大学, 医学部, 助手 (00268905)
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Keywords | Lck / 特異的癌免疫 / ペプチドワクチン / 抗ペプチド抗体 / CTL |
Research Abstract |
転移癌に高発現するlck蛋白を標的とした特異的免疫療法の開発を行ってきた.HLA-A24拘束性およびHLA-A2拘束性に認識されるCTLエピトープを合成したlckペプチド(lck208-,lck486-,lck488-およびlck246-,lck422-)を用い,投与前末梢血リンパ球が反応する場合に投与するワクチン療法の第I相臨床試験を行い,その免疫学的解析を行った. この臨床試験において,約半数の進行癌患者のワクチン投与前の末梢血リンパ球がこれらのペプチドに反応性を有することが判明し,進行癌および転移癌患者に対するワクチン候補として有望であることが分かった.また,これらの患者に適合するペプチドを投与したところ,重度の有害反応は観察されず,安全性は高いことも分かった.さらに免疫能解析においては,ワクチン投与により各々のペプチドに対する細胞性免疫の増強が14〜30%の患者で確認された.液性免疫としてペプチド特異的IgG抗体が産生されることも判明し,各々のペプチド投与により特異的抗体産生が早期より0〜75%の患者に増強することが分かった.これらの免疫能が増強した患者群において生存期間が延長していることも判明したため,ペプチドワクチン療法としての有用性が期待される.これまで癌免疫療法において臨床的有用性と免疫能測定との関連性が証明できたものは少なかったため,ペプチド特異的IgG抗体の測定はペプチドを用いた治療法とその効果を評価する有用な手段となりうることも分かった. これらの研究結果をもとに今後の特異的免疫療法開発がさらに発展すると思われる.
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