2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770728
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田 克彦 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60323002)
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Keywords | ステントグラフト / PLLA製ステント / ステンレス製ステント / 動脈瘤 |
Research Abstract |
動脈瘤に対するステントグラフトの素材および形状が原因と考えられる合併症の報告は多い。本研究では、ステントを従来用いられてきた金属ではなく、生体吸収性素材であるpoly-L-乳酸(PLLA)の繊維でステントを作製し、その有用性を実験的に検討した。研究方法は、ビーグル犬を用い、PLLA製ステントグラフト群(PG群、6例)、ステンレス製ステントグラフト群(SG群、6例)、PLLA製ステント群(P群、6例)スァンレス製ステント群(S群、6例)の4群にわけて、開胸下にそれぞれのステントグラフトおよびステントを挿入した。術後1〜6ヵ月の時点で屠殺し、肉眼的、組織学的評価、生体工学的評価およびGelatin Zymographyを行い比較検討した。PG群およびSG群移植後3ヵ月、6ヵ月時、ステントグラフト内腔は両群とも新生内膜で被覆され、移動、狭窄、血栓の所見はなかった。PG群、P群ではSG群、S群より中膜厚は有意に高値で、膠原線維の割合は有意に低値であった。このことから、PLLA製ステントはステンレス製ステントに比べ中膜への侵襲が少ないと判断された。また、慢性期における炎症細胞の浸潤程度がSG群、S群で強く、MMP-2およびMMP-9の活性亢進がS群で認められており、ステントグラフト後の組織破壊と組織再構築においてMMPが関与している可能性が示唆された。生体工学的な検討では、3ヵ月目より、ステントの強度が低下してきている。この時期は新生内膜でステントは被覆され、固定されているため吸収される時期としては妥当であった吸収性ステントグラフトは、ステンレス製ステントグラフトに比べ大動脈壁、特に中膜への影響度が少なく、血管への侵襲が少ないと結論された。また、吸収性ステントはステントとしての機能を十分に有し、ステントグラフトの素材としても、有用な素材であることが示唆された。
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