2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後慢性拒絶反応に対するアンチセンスMT-I-MMP遺伝子導入の効果
Project/Area Number |
13770733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
常塚 宣男 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (80332667)
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Keywords | 肺移植 / 閉塞性気管支炎症候群 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
【目的】癌の浸潤,進展だけでなく,慢性肺気腫や肺線維症にもマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)が関与していることが報告されている.我々は,肺移植慢性拒絶反応の代表的な病態である,閉塞性細気管支症候群におけるMMPsとの関連性を,ラット肺移植モデルを用いて検討した.【方法】Brown Norway種(BN)をdonor, Lewis種(LW)をrecipientとして異所性気管移植(異系群)を行い,4週後にgraftを採取した.対象として,LWおよびLWによる同系移植モデル(同系群)を用いた.1.ゼラチンザイモグラフィー:採取した移植片をゼラチンザイモグラフィーによりゼラチナーゼ活性を測定し,その分子量により,MMP-9(92kDa),MMP-2(68-72kDa)の発現を検索した.2.in situ zymography:移植片の薄切をFilm in situ Zymography(FIZ)フイルムRを用いて,ゼラチナーゼ活性の局在を検索した.3.RT-PCR:移植片より抽出した全RNAを用いてRT-PCRを行い,MMPsならびにMT1-MMPのm-RNAの発現を定量した.【結果】1.ゼラチンザイモグラフイー:異系群のみにMMP-9(92kDa)の発現を認めた.MMP-2(68-72kDa)は,同系,異系群ともに発現を認めた.活性型MMP-2(62kDa)の発現の割合を検索すると,異系群は同系群に比べ有意に多く発現していた.2.In situ zymography:気管支断面における内腔閉塞率は異系群が有意に高く,肥厚閉塞しているのは上皮下〜粘膜下組織であった.同部位にに一致して,ゼラチナーゼ活性の局在を認めた.同系群では内腔閉塞をほとんど認めず,ゼラチナーゼ活性部位は極わずかであった.3.Northern Blotting:MMP-9は異系群にのみ認められた.MMP-2およびMT1-MMPのm-RNAの発現は異系群において有意に高かった.【総括】ラット気管支移植モデルにおいて,MMP-9, MMP-2およびMT1-MMPの発現を認めた.これにより,閉塞性細気管支症候群のメカニズムにおいて,MMPs, MT1-MMPsが寄与していることが示唆された.
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