2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌術後の転移抑制における効率的な抗血管新生療法に関する研究
Project/Area Number |
13770736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 雄司 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (10304239)
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Keywords | 肺癌 / 転移抑制 / 抗血管新生療法 / VEGF / IL-8 |
Research Abstract |
原発性肺癌に対して,肺葉切除およびリンパ節郭清を施行した症例を対象とした.術前,術後3時間,6時間,第1病日,第2病日,第3病日,第5病日の血清中および胸水中の血管内皮増殖因子(VEGF),interleukin-8(IL-8),interleukin-6(IL-6)をELISA法にて測定した.血清中の1L-8,IL-6のピークは術後3時間から6時間であった.これに対して,胸水中の濃度は血清中の100倍程度であった.ピークは術後6時間から第1病日とずれを認めた.しかしながら,胸水中の単位時間当たりの産生量は,血清中と同様の推移であった.また,胸水中のIL-8は第3病日以降に再上昇した.VEGFの胸水中の濃度は血清中の濃度の10倍程度であった.VEGFの胸水中の濃度もIL-8と同様に第3病日以降再上昇した.以上より,肺癌術後において,血管新生因子であるVEGFとIL-8は,血清中(全身)よりも胸腔内(局所)においてより高濃度で存在することが確認された.さらに,これらが第3病日以降に再上昇することは,炎症性サイトカインであるIL-6とは異なる推移であることも確認された.現在,摘出標本におけるVEGFの発現についても免疫組織学的に検討中である. これをふまえて,マウスなどの小動物における肺切除後におけるVEGFやIL-8の測定や抗VEGF抗体投与にむけて準備中である.現在,各個体間における術中術後の呼吸循環を中心とした全身状態を安定させて,一定の実験系を確立するための条件を検討中である.
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