2002 Fiscal Year Annual Research Report
ARDS後に生じる肺線維化におけるマトリックスメタロプロテアーゼの関与
Project/Area Number |
13770743
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 太一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80317148)
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Keywords | ARDS亜急性期 / MMP / TIMP / TGF-β / LPS |
Research Abstract |
ラットに高濃度酸素下(FiO2 75%)でエンドトキシン(LPS)を10日間持続静注(500 g/kg/day)し,ARDS亜急性期における肺胞構造の変化とコラーゲン代謝,MMP, TIMP-1,2,TGF-β1の関与を検討した.1)室内気下生理食塩水投与群(control群),2)高濃度酸素下生理食塩水投与群(HIO2群),3)高濃度酸素下LPS持続投与群(LPS+HIO2群),4)室内気下LPS持続投与群(LPS群)の4群(N=6)を作成した.LPS+HIO2群において気管支肺胞洗浄液(BALF)中細胞数及び肺血管透過性,肺湿乾重量比が最大で,肺組織中のhydroxyproline量は高濃度酸素により有意に低下し,LPSにより有意に増加していた(昨年報告).BALF中のcollagenase活性とgelatinase活性はHIO2群とLPS+HIO2群ではcontrol群の4倍で、zymographyで高濃度酸素によるMMP-2の、LPSによるMMP-9の活性化率の有意な増加を認めた。PCR法によるMMPsのmRNA発現の検討では肺組織中ではMMP-2とMMP-14については全例においてその発現が認められた.TIMP-1のmRNA発現の検討では,HIO2群とLPS+HIO2群で発現の低下を認めた。TIMP-2でもほぼ同様の傾向であった.肺組織中のTGF-β1はHIO2群では他3群と比較して1.5倍以上の増加を認めた.PCRでは全例においてTGF-β1の遺伝子発現を認めた.群間で明らかな発現量の差は確認できなかった.病理学的にHIO2群で肺の気腫化を,LPS群で肺胞壁の肥厚,LPS+HIO2群ではそれらの混在を認めた.ARDS亜急性期における高濃度酸素曝露ではMMP-2の発現増加とTIMPsの発現抑制が肺気腫化に強く関与している可能性があることが示唆された.
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