2001 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸虚血下分節注入モデルによる興奮性アミノ酸受容体阻害薬の評価-対麻痺予防のための薬理学的脊髄保護液の開発-
Project/Area Number |
13770744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
橋詰 賢一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30296610)
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Keywords | リルゾール / Glutamate neurotoxicity / Amyotrophic lateral sclerosis / 脊髄虚血 / 動物実験モデル |
Research Abstract |
【本年度の研究結果】 我々は脊髄をそれ自体では障害を与えない程度の10分間虚血にしながらグルタミン酸を分節注入することにより、対麻痺を作成するという実験動物モデルを用い、AMPA/kainite受容体阻害薬であるNBQXおよび、アスパラギン酸を分節注入し対麻痺を作成したモデルを用いN-Metyl-D-aspartate(NMDA)受容体阻害薬MK-801による 脊髄保護作用を証明した。今回、現時点で有望視されているNMDA受容体、AMPA/Kainate受容体の阻害薬でグルタミン酸の遊離阻害薬、及びシナプス間隙のグルタミン酸再吸収薬としてALSで使用されているリルゾールを使用し脊髄保護作用をin vivoで評価した。実験動物はNew Zealand white rabbitを用い2群に分けた。 ウサギは全麻、自発呼吸下に開腹し腹部大動脈を腎動脈直下、及び分岐部直上で剥離。ヘパリン投与後カテーテルを右大腿動脈より挿入。A群は腹部大動脈を遮断直後にRiluzole(8mg/kg)を分節注入し引き続き50mMのグルタミン酸溶液を2ml/minの注入速度で大腿動脈カテーテルから10分間分節注入する。注入後血流再開し注入用のカテーテルを抜去し、腹壁を2層に閉じた。B群は生理食塩水をリルゾールのかわりに注入し引き続き50mMのグルタミン酸溶液を同じ注入速度で同様に10分間分節注入した。分析及び評価方法は下肢の神経学的所見をTarlovのmodified scoreに従い手術後12,24,48時間後の各時点において観察。手術後48時間後の時点において摘出した脊髄は染色後病理組織学的検索を施行した。術後の神経学的所見の比較はMann-Whitney U Testを用いて統計処理した。A群の48時間時点におけるTarlov modified scoreは3.85±0.89,B群は1.28±1.79と統計学的に有意に高かった(p<0.05).病理組織学的にはB群の標本では灰白質における神経細胞の変性が著名であったがA群の標本では虚血性変化は軽度であり保護されていた。グルタミン酸虚血下分節注入モデルにおけるリルゾールの動注は脊髄保護作用をin vivoで示した。
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