2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管壁プロテアーゼ活性測定法を応用した各種危険因子の解析と術後使用薬剤の決定
Project/Area Number |
13770752
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
西澤 永晃 金沢医科大学, 医学部, 助手 (10308596)
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Keywords | gelatinaseA(MMP-2) / gelatinaseB(MMP-9) / CAB / LITA / SV / coronary risk factors |
Research Abstract |
【対象及び方法】1999.12.1.から当施設で施行したCABG例において、グラフト材料断端の組織(37症例67部位:左内胸動脈(以下LITA)37部位、大伏在静脈(以下SV)30部位)を用いてmatrix metalloproteinases(以下MMPs)を解析した。<MMPsの解析>In situ zymography:フィルム膜にゼラチン基質を塗布し、それに培養上清を採取したものと同じグラフト組織の凍結切片をのせ、37℃でincubationする非RI的方法。SDS-gel zymography:ゼラチン(0.2%)を基質として、グラフト組織培養上清を試料に用いた。ゼラチン分解活性はgelatinolytic activityを示すバンドとしてNIH imageで半定量的に解析、グラフト間にみられる有意差を求めた。<臨床的予後判定>MMPsと各種予後決定因子(年齢、性別、冠動脈危険因子:高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満)との相関について検討した。また術後1ヵ月を目安に確認造影を行い、開存率を求め、MMPsとの関係について検討した。【結語】LITAはSVに比べ、proMMP-2活性とtotalMMP-2活性が有意に低いことから、CABGにより適したバイパス血管であることが示唆された。比較的短期のgraft failureの対策には、内皮細胞の保護・血栓形成の予防が重要で、吻合部以外の部分の動脈硬化性変化をもたらす因子の決定には5年から10年以上にわたる更なる長期の観察が必要である。吻合前グラフト断端組織のMMP-2およびMMP-9は、CABG後の予後予測因子となりうることが考えられた。以上は2001年9月9日〜13日、Mexico・Cancunで行われた25th World Congress of the International Society for Cardiovascular Surgeryにて、"Correlation between graft patency after CABG and activity of matrix metalloproteinases at the site of anastomosis-a comparative study of grafts, internal thoracic artery and great saphenous vein."のタイトルで報告し、コンセンサスを得ている。 現在、同LITA断端を使用して、細胞短期培養を行い、上記方法を用いてゼラチン分解活性を測定している。また、細胞短期培養中に薬剤を投与し、ゼラチン分解活性抑制について、検討中である。
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