2001 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫組織・細胞の進展、転移における細胞外マトリックス分子の作用に関する研究
Project/Area Number |
13770790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (50332698)
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Keywords | ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸合成酵素 / 脂肪肉腫 / 骨肉腫 / ヒアルロン酸結合タンパク / 免疫組織染色 |
Research Abstract |
1.脂肪肉腫組織におけるヒアルロン酸の発現 (1)インフォームドコンセント 脂肪肉腫患者に対して、あらかじめ研究に関して説明し、内容について理解していただいた。 (2)組織染色 手術時採取した脂肪肉腫組織をホルマリン固定、パラフィン包埋、切片を作成し、ビオチン化ヒアルロン酸結合タンパクを用いて、ヒアルロン酸の組織内蓄積を解析した。ヒアルロン酸の蓄積は脂肪肉腫の組織型間で異なり、多形型、円形細胞型など悪性度の高い型に多く蓄積し、高分化型など悪性度の比較的低い型に蓄積が少なかった(p<0.05)。 (3)ヒアルロン酸合成酵素mRNAの発現 手術時摘出した脂肪肉腫組織をすぐに液体窒素で凍結し、-80℃で保存。Trizolを用いてtotal RNAを抽出し、RT-PCRにてヒアルロン酸合成酵素(HAS-1,HAS-2,HAS-3)のmRNA発現を解析した。HAS-2とHAS-3については確認できたがHAS-1については検出できなかった。 (4)ヒアルロン酸結合タンパクの産生と組織内分布 ヒアルロン酸結合タンパクであるSHAP(serum derived hyaluronan binding protein)の脂肪肉腫内分布を免疫染色により解析した。ヒアルロン酸の蓄積と同様のパターンを示した。しかしSHAPmRNA発現は腫瘍局所では認められず、SHAPは肝で合成され、腫瘍局所に蓄積されることが示唆された。 2.他の肉腫組織におけるヒアルロン酸の発現 (1)インフォームドコンセント 肉腫患者に対して、あらかじめ研究に関して説明し、内容について理解していただいた。 (2)組織染色 手術時採取した骨肉腫、神経肉腫、横紋筋肉腫、軟骨肉腫組織をホルマリン固定、パラフィン包埋、切片を作成し、ビオチン化ヒアルロン酸結合タンパクを用いて、ヒアルロン酸の組織内蓄積を解析した。悪性度の高い組織ほどヒアルロン酸の蓄積が高い傾向があった。骨肉腫については同じ組織亜型であっても標本間のヒアルロン酸分布に大きく差が認められ、悪性度を含めた個々の腫瘍の性格決定に関与していることが示唆された。
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