2001 Fiscal Year Annual Research Report
陳旧性前距腓靭帯損傷の残存靭帯におけるコラーゲン解析―tenocyteの正常なI型コラーゲン産生機能の回復―
Project/Area Number |
13770796
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
高尾 昌人 島根医科大学, 医学部, 助手 (30263536)
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Keywords | 前距腓勒帯 / 再生医療 / 線維芽細胞 / コラーゲン |
Research Abstract |
健常な靭帯と残存靭帯の質的な違いを明らかにするために,ヒトの足関節前距腓靭帯断裂の新鮮例と陣旧例の靭帯のtype Iコラーゲン,type IIIコラーゲンの発現の比較を行った. 手術的治療を行なった足関節外側側副靭帯損傷の新鮮例と陣旧例のうち,損傷した前距腓靭帯を十分なインフォームドコンセントのもとに採取した.4%パラホルムアルデヒドで固定後,パラフィン切片を作製した.免疫染色法でtype I, type IIIコラーゲンの発現と局在を形態学的に評価した.採取した靭帯の全RNAを抽出し,RT-PCRで両遺伝子の発現を調べ両群の比較を行なった.その結果,新鮮例の断裂部と陣旧例の残存靭帯においてtype IIIコラーゲンの発現が多かったことが分かった.以上から、我々は,新鮮例においては,靭帯の線維芽細胞が正常なType Iコラーゲンではなくtype IIIコラーゲンを産生したため,靭帯線維の張力に対する強度が低下した結果,断裂に至ったと推測した.また,陳旧例においては,コラーゲンtypeの変化が,残存靭帯を縫合しても容易に再断裂に至る理由の一つであると考えた. 今後は残存靭帯中の線維芽細胞を培養し,その細胞が正常なtype Iコラーゲンを産生する至適条件(TGFやFGFなどのサイトカインの添加,長軸方向への張力負荷)を調査し、最終的には強度の増加した残存靭帯を臨床応用することを目標としている.
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