2002 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成・維持に寄与する神経筋接合部シュワン細胞に特異的な遺伝子の同定
Project/Area Number |
13770807
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40311914)
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Keywords | 神経筋接合部 / シュワン細胞 / 単一細胞RT-PCR / 網羅的遺伝子発現解析 / 細胞マーカー / Herp / in situハイブリダイゼーション / 末梢神経再生 |
Research Abstract |
シュワン細胞の中で神経-筋接合部に局在する細胞群は神経再生過程で重要な機能を担うと想定されるが、その細胞数の少なさ故に,これまでのところ再生関連遺伝子の探索はほとんど行われていない。そこで本研究においては、このシュワン細胞に注目し、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析によって,本細胞に特異的に発現する新規遺伝子産物の同定を目指した。 最初に,単一の神経筋接合部シュワン細胞を,顕微鏡下でガラスキャピラリーにより吸引し、単一細胞RNAの抽出精製を行う方法について検討し,確立した。つぎに,「単一細胞由来の全cDNAを,5'・3'末端を区別できる形でPCR反応により増幅する方法を確立した.骨格筋、神経筋接合部シュワン細胞、軸索周囲シュワン細胞それぞれから調整した全cDNA増幅産物を鋳型に、G3PDH(全ての細胞に発現する)、S-100beta(2種のシュワン細胞に共通して発現する)遺伝子特異的プライマーによるPCRを行うことで,各シュワン細胞由来cDNAが得られることを確認できた.各単一シュワン細胞由来cDNA画分を鋳型に,任意の配列を持つプライマー(24種)とアンカープライマーを用いたPCRディファレンシャル・ディスプレイ法により網羅的遺伝子発現解析を行った. 全RNA種の1-2%の遺伝子種について,骨格筋、神経筋接合部シュワン細胞そして軸索周囲シュワン細胞の間で発現比較を行うことができた.およそ3分の1の遺伝子種が各細胞種に特異的もしくは優先的に発現していた.神経筋接合部シュワン細胞特異的バンドの1つはHerp遺伝子であった.in situハイブリダイゼーション法により,Herpを新規の神経筋接合部シュワン細胞特異的分子マーカーとして同定するに至った.このようなマーカーについての報告は未だなく,今後,神経筋接合部シュワン細胞の役割を明らかにする上で有用であると考えている.
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[Publications] Nakamura K, Kadotani Y, Ushigome H, Akioka K, Okamoto M, Ohmori Y, Yaoi T, Fushiki S, Yoshimura R, Yoshimura N.: "Antisense oligonucleotide for tissue factor inhibits hepatic ischemic reperfusion injury"Biochem Biophys Res Commun. 297(3). 433-441 (2002)
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[Publications] Shiraishi J, Tatsumi T, Keira N, Akashi K, Mano A, Yamanaka S, Matoba S, Asayama J, Yaoi T, Fushiki S, Fliss H, Nakagawa M.: "Important role of energy-dependent mitochondrial pathways in cultured rat cardiac myocyte apoptosis"Am J Physiol Heart Circ Physiol. 281(4). H1637-H1647 (2001)