2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770811
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菊川 久夫 東海大学, 医学部, 助手 (50246162)
|
Keywords | Fracture toughness / Cortical bone / Compact tension method / Strain rate / High-Speed loading / Wet specimen / Dry specimen / SEM |
Research Abstract |
皮質骨の内部には生理活動を営む上で重要なハバース管、フォルクマン管あるいは骨小腔など微小空孔が存在している。最近では、日常の生活活動中において骨中にマイクロクラックが発生するとの報告があり、特に、衝撃外力により発生する骨組織の微小損傷(マイクロフラクチャ)と臨床上見受けられる骨折形態の間には密接な関係があると考えられる。申請者はこれらの観点から、皮質骨の破壊挙動、すなわち、骨中をクラックが進展しにくい性質である骨の破壊じん性試験を実施してきた。これらによると、骨に加えるひずみ速度が、従来ほとんど行われていない準静的から高遠負荷領域において、骨の破壊じん性値に急激な現象および増加を伴う極端な変化を示すことを確認した。これらの現象を説明するために、骨の構造に構造が類似した現存する材料である繊維強化複合材料の力学モデルを用いて、次のような皮質骨の強化機構を説明する仮説を提案した。 (1)準静的から高速負荷領域における皮質骨の強化機構は、内部に含まれるコラーゲン線維の切断機構により、ブリッジング(線維が延性破断)、プルアウト(線維が脆性破断)および線維強化無効の3段階に分けられる。これらが骨の破壊特性(破壊じん性値)の変化を支配する。 (2)特に、高ひずみ速度域において、皮質骨の母相(ハイドロキシアパタイト)にマイクロクラック強化機構が働き、その結果、破壊じん性値が増加する。 本研究では以上の両仮説の検証を試みる事を目的とした。本年度は準静的から高速負荷における多くの破壊解析データ(クラック進展画像、破断面のSEM像等)の収集を行った。
|