2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄におけるノルエピネフリン作動性下降性抑制系を介した鎮痛機序に関する研究
Project/Area Number |
13770819
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 聡一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40281810)
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Keywords | 亜酸化窒素 / c-Fos / αIアドレナリン受容体 / GABA / 下行性抑制系 / 脊髄 |
Research Abstract |
亜酸化窒素がノルアドレナリン作動性下行性抑制系を介して,脊髄のGABA作動性ニューロンを賦活化しc-Fosタンパクを発現することが明らかになっている。脊髄内で放出されたノルエピネフリンがアドレナリン作動性α受容体を介してGABA作動性ニューロンを賦活化し,鎮痛作用をもたらすものと予想されている。 研究計画に従って,α受容体の各サブタイプに特異的な遮断薬を投与し,どのタイプのα受容体が上記のような鎮痛機構に関与しているかを明らかにした。Fischer系雄性ラットにヨヒンビン,プラゾシンを腹腔内投与し,亜酸化窒素に暴露した。免疫組織染色で各群の脊髄切片のc-Fos陽性細胞数を比較したところ,プラゾシン群ではc-Fosの発現が減少していたが,ヨヒンビン群では減少していなかった。このことから,GABAニューロンの賦活化に関与しているのは,α1受容体であることが明らかとなった。また,抗c-Fos抗体とサブタイプに非特異的な抗α1受容体抗体を用いた2重染色により,c-Fosとα1受容体が同一細胞に共存していることも確認された。 α1受容体の中でどのサブタイプが関与しているかを明らかにするため,α1A,α1Bおよびα1Cに特異的な市販の抗体を用いて,2重染色を試みたが抗体のサブタイプ特異性に疑問があり,結論を出すに至っていない。また,脊髄くも膜下腔に細いカテーテルを挿入して,くも膜下腔に薬物を投与することを試みたが,カテーテル自体の刺激でc-Fosが発現することが明らかとなり,プラゾシンのくも膜下投与によるc-Fos発現への抑制効果は評価できていない。
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