2001 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショックにおけるCannabinoidの役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13770838
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
吉田 昌人 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10304916)
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Keywords | cannabinoid / apandamide / 2-arachidonoyl glycerol / 敗血症 / ショック |
Research Abstract |
ラットを用いて麻酔下に頸動静脈にカニュレーションし血圧、脈拍をモニタリングしながら、ANA、2-AGを投与したところ、一過性に短時間の血圧上昇、脈拍増加の後、血圧が低下する2相性の血圧変化がみられた。In vivoの実験で、ANA、2-AGに明らかな血管収縮作用を認めないことから、始めの血圧上昇の機序として、心収縮能の増強の可能性が示唆された。モルモットの乳頭筋を電気刺激しながらANAを添加し、張力変化を観察したところ、ANA添加によって持続的な張力増加が見られた。これまで、心筋の収縮力をANAが増加するという報告はなく、ANAによる心筋の張力増強は新しい知見である。さらに、In vivoでの心機能に対する作用を検討するため、モルモットを用いて、血圧、脈拍をモニタリングしながらANAを投与し、体表式心臓超音波法による心収縮能、拡張能を検討、心拍数変動解析を行っている。 ヒトおけるANA、2-AGの体内動態を検討するため、検体を液液抽出の後、HPLC/MSにより分析する事で、血清中のANA、2-AGをpg/mlオーダーで測定する系を作成した。敗血症性ショック症例における血清ANA、2-AGの変化を観察し、敗血症におけるANAの役割を検討している。また、ANAは単球中で、2-AGは血小板中で産生されると報告されているが、敗血症の病態を検討する場合、単球や血小板中の濃度を検討すべきか、血清中のANA濃度がより重要な意味を持つのかについては報告がない。濃度勾配法により単球、血小板を分離し、単球や血小板中のANA、2-AG濃度変化と比較し、敗血症の循環動態に対するANAのもつ生理学的意義を検討している。これは同時にin vivoおよび臨床での研究におけるANA、2-AGの測定法の標準的手法を確立することを目的としている。
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