2002 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症時における全身性炎症反応と肺胞細胞障害機転の位置づけ並びに相互関与の探求
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13770850
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松田 知之 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30281265)
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Keywords | 敗血症 / HMG-1 / 急性肺傷害 / LPS / 全身性炎症反応 |
Research Abstract |
敗血症ショック時のmediatorとしての役割が注目されているHigh mobiiity group box-1蛋白(HMG-1)は、炎症反応に起因した組織傷害に関与することが明らかになりつつある。今回我々は急性肺損傷に着目し、エンドトキシン(LPS)経気管投与後のHMG-1の全身および肺内動態と肺の病理学的検討を行った。 【方法】ICRマウスにLPSを経気管投与し急性肺損傷モデルを作成し24時間後に(1)肺内HMG-1の発現および局在、(2)気管支肺胞洗浄液、血漿中HMG-1の定量、(3)肺損傷の程度を検討した。さらにHMG-1の経気管投与による直接的な肺損傷についても検討した。なお、肺損傷の指標としては経静脈的に投与したヒトアルブミンの気管支肺胞洗浄液、血漿濃度比を用いた。【結果】LPS肺損傷モデルでは投与24時間後に肺胞構築の損傷、炎症性細胞浸潤がみられた。免疫組織化学的検討で遊走肺胞マクロファージの核及び細胞質にHMG-1の強発現をみとめ、対照群ではHMG-1は細気管支レベルの終末細気管支上皮の核に発現をみとめた。気管支肺胞洗浄液中のHMG-1は対照群、LPS投与群でともに検出されたが、血液中のHMG-1は対照群に比較しLPS投与群で有意に高値を示した。HMG-1の経気管投与では濃度依存性に肺損傷をみとめ、またHMG-1はin vitroで肺血管内皮の透過性を亢進させた。結論として、LPS急性肺損傷ではHMG-1は肺細胞傷害性mediatorとして働くが、肺胞領域のloss of compartmentalizationにより血液中に移行して全身性炎症反応への進展に関与する可能性が示唆された。
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