2001 Fiscal Year Annual Research Report
蓚酸生成の制御因子としてのSPT/AGTの細胞内局在の意義
Project/Area Number |
13770876
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
高山 達也 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90324350)
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Keywords | 蓚酸 / SPT / AGT / ヒドロキシプロリン / グリオキシル酸 / グリコール酸 |
Research Abstract |
セリン:ピルビン酸/アラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼ(SPT/AGT)をペルオキシソーム(Ps)とミトコンドリア(Mt)の両方に持つラットでは、通常は60-70%がPsに、30-40%がMtに存在するが、グルカゴンの投与により約10倍に及ぶMtのSPT/AGTの選択的な誘導が起こる。このグルカゴン投与ラットをSPT/AGTの細胞内局在に関して肉食動物と類似の状態を持つモデルとして取り扱って本実験を行う。 (1)ヒドロキシプロリン(Hyp)からグリオキシル酸への代謝経路には(1)Hypオキシダーゼ、(2)1-pyrroline-5-carboxylateデヒドロゲナーゼ、(3)ミトコンドリア型Aspトランスアミナーゼ、(4)4-hydroxy-2-ketoglutarate(HKG)アルドラーゼが関与し、このうち(1)と(4)がHyp代謝に特異的である。グルカゴン投与でSPT/AGT活性は誘導されたが、(1)、(4)の活性は誘導されなかった。 (2)In vivo代謝実験:グルカゴン投与ラットおよび対照ラット(24時間絶食)にHyp、グリコール酸あるいはこれらのVehicleであるH2Oを胃管チューブを用いて投与し、当大学動物実験センターの代謝ゲージで飼育する。各グループ2-6匹ずつ、計12-36匹のラットを用いて実験を行う。ヒドロキシプロリンとグリコール酸の投与量はラットが肉食のみ、あるいは草食のみで1日に必要なエネルギー量を賄おうとした時に摂取すると予想されるHyp、グリコール酸のそれぞれの量の10倍量、50倍量とした。ヒドロキシプロリン、グリコール酸の投与直後より塩酸蓄尿を開始し、餌の摂取も再開。2日間に亘って24時間蓄尿を行った後、ラットを屠殺し、肝臓を摘出。肝臓のHypオキシダーゼ、4-hydroxy-2-keto-glutarate(HKG)アルドラーゼ、SPT/AGT活性を測定した。また、尿中のクレアチニン、蓚酸、グリコール酸は酵素法により当大学生化学第一教室所有のMicroplate readerを用いて、そして尿中のHyp、プロリン、グリシン、セリン、アラニン、アンモニア、尿素および、グリオキシル酸はHPLC法により当大学機器センターのPICO-TAGを用いて測定した。ヒドロキシプロリン、グリコール酸の投与で尿中の蓚酸排泄は確かに増加した。ヒドロキシプロリンを投与したグルカゴン投与ラットでは対照ラットと比べて尿中蓚酸排泄は有意に減少した。また、グリコール酸を投与したグルカゴン投与ラットでも対照ラットと比べて尿中蓚酸排泄がわずかに減少していた。
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