2001 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス化法によるヒト未受精卵の凍結保存に関する研究
Project/Area Number |
13770903
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 俊文 山形大学, 医学部, 助手 (20302292)
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Keywords | 未受精卵 / 凍結保存 / ガラス化法 / 細胞内カルシウム濃度 |
Research Abstract |
生殖細胞の凍結保存は、若年女性における癌化学療法や放射線治療による卵巣機能障害の予防として有用である。未受精卵の凍結保存は、妊娠出産例の報告が散見されるが、臨床応用されるレベルに到達していない。従来より受精卵の凍結保存にはプログラムフリーザーを用いた緩慢凍結法が行われてきたが、特別な機器を必要としないガラス化法による受精卵の凍結保存が行われるようになった。今回、ヒト未受精卵におけるガラス化法による凍結保存に関する基礎的研究を行った。ガラス化法では高濃度の耐凍剤を使用するため、卵に対する耐凍剤の化学的毒性が問題となる。また細胞膜透過型の耐凍剤は、卵の活性化を引き起こすことが知られているが、卵の活性化には細胞内カルシウム濃度の上昇が関係している。しかし、細胞内カルシウムの持続的な上昇は細胞にとって致死的な障害を与える。そこで、マウス未受精卵を用いて細胞膜透過型耐凍剤であるエチレングリコールの細胞内カルシウム濃度に及ぼす影響を検討した。マウス未受精卵は、エチレングリコール投与により細胞内カルシウム濃度が濃度依存性に上昇し、10%濃度以上ののエチレングリコール投与により卵細胞はすべて死滅した。細胞外カルシウムを除去した培養液で10分間インキュベートした後、同様にエチレングリコールを投与すると、細胞内カルシウム濃度の上昇は抑制された。また10%濃度のエチレングリコール投与によっても、卵細胞はすべて生存した。マウス未受精卵において、細胞膜透過型耐凍剤による細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制することによって、高濃度の耐凍剤による化学的毒性が軽減される可能性が示唆された。
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