2002 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌関連蛋白SCC抗原の機能を制御する新しいペプチドの開発
Project/Area Number |
13770922
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
縄田 修吾 山口大学, 医学部, 助手 (60294625)
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Keywords | SCC抗原 / セルピン / ペプチド / 多量体 / 熱安定性 / 分子多様性 / プロテアーゼ / cleaved form |
Research Abstract |
セリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)ファミリーに属する扁平上皮癌関連蛋白SCC抗原は、これまでの検討から、種々の刺激に対するアポトーシスや、NK細胞の遊走性を抑制する作用を有し、腫瘍形成促進的に作用しているものと考えられる。一般に、セルピンは蛋白分解酵素と反応する際、分子表面に存在するreactive center loop (RCL)が分子内の間隙に入り込むことが予想される。本研究ではSCC抗原-1蛋白、SCC抗原-2蛋白と特異的に結合するペプチドを開発するために、各々のRCLに相当するアミノ酸配列に着眼し、今回、N末端をアセチル化した13残基程度からなるペプチド(RCL-SCCA1、RCL-SCCA2)を作成した。扁平上皮癌組織中の非常に相同性の高いSCC抗原-1蛋白、SCC抗原-2蛋白に対するRCL-SCCA1ペプチドおよびRCL-SCCA2ペプチド添加の影響を未変性条件下2次元電気泳動法で解析すると、SCC抗原-1蛋白のスポットは特に変化を認めなかったが、SCC抗原-2蛋白はRCL-SCCA2ペプチド添加によりその多量体が減少し、SCC抗原-2蛋白・RCL-SCCA2ペプチド複合体のスポットが新たに形成されることが判明した。すなわち、今回作成したRCL-SCCA2ペプチドはSCC抗原-2蛋白に特異的に結合すると考えられたが、今後はSCC抗原-2蛋白により効率的に結合するRCLペプチドをペプチドのアミノ酸残基数を変化させることでさらに検討を追加していく必要性があると考えられた。なお、SCC抗原-1蛋白、SCC抗原-2蛋白は非常に高い相同性を有するのにもかかわらず、熱安定性に差を有することを新たに報告した。また、興味深いことに、SCC抗原-1蛋白については、癌組織中では、特異的な蛋白分解酵素と反応した結果生じると考えられるcleaved SCCA1を異常に認めることを見い出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Nawata, Y.Suminami, H.Kato, et al.: "Electrophoretic characterization of heat-stable squamous cell carcinoma antigen"Electrophoresis. 22. 3522-3526 (2001)
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[Publications] S.Nawata, Y.Suminami, H.Kato, et al.: "Non-denaturing two-dimensional electrophoretic analysis of loop-sheet polymerization of serpin, squamous cell carcinoma antigen-2"Electrophoresis. 22. 161-164 (2001)
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[Publications] 縄田修吾, 中村和行, 加藤 紘 他: "電気泳動法を利用した扁平上皮癌組織中SCC抗原-1蛋白の熱安定性の解析"生物物理化学. 45. 287-289 (2001)
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[Publications] K.Umayahara, S.Nawata, H.Kato, et al.: "Comparative genomic hybridization detects genetic alterations during early stages of cervical cancer progression"Genes Chromosomes Cancer. 33. 98-102 (2002)
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[Publications] F.Numa, S.Nawata, H.Kato, et al.: "Syndecan-1 expression in cancer of the uterine cervix: association with lymph node metastasis"Int J Oncol. 20. 39-43 (2002)