2002 Fiscal Year Annual Research Report
音声基本周波数の制御機構における声門下腔共鳴の影響
Project/Area Number |
13770954
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
片岡 英幸 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (00224436)
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Keywords | 声道の共鳴 / 声門上下圧差 / フォルマント周波数 |
Research Abstract |
音声基本周波数は,主として声帯筋と輪状甲状筋の筋収縮によって調節されているが,声門下圧も調節に関与している.単位声門上下圧差あたりの音声基本周波数の変化率(dF/dP)は200Hz付近で最小になり,それより低い周波数でも高い周波数でもdF/dPが大きくなりV字のグラフを形成する.この時dF/dPの最小値が負の値,つまり声門上下圧差が小さくなったにもかかわらずFoが上昇するという現象がみられることがあったが,この原因については声帯筋と輪状甲状筋の調節や声門下圧の影響だけでは説明が困難であった.今回の研究で地声の範囲での周波数制御の変換点における声道の共鳴の影響について検討した.実験方法はシャッターバルブを装着したマウスピースをくわえた状態で持続発声をした場合とシャッターバルブを用いない状態でマイクロフォンに向かって持続発声をした場合で第1フォルマント周波数がどのように変化するかを検討した.その結果,マイクロフォンでの第1ホルマント周波数が700Hz付近であったのに対し,シャッターバルブ装着時の第1ホルマント周波数は200Hz付近にあった.シャッターバルブ装着時の第1ホルマント周波数は200Hz付近にあり,dF/dPが最小となる周波数と近似していた.また,声道の長さを17cmとし,シャッターバルブを装着した状態での声道を40cmとして単一断面積音響管での第1ホルマント周波数の理論値を計算するとそれぞれ500Hz,218Hzとなる.以上よりV字の谷にあたる周波数域では声道の共鳴が声帯振動に影響を及ぼしている可能性がある.
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