2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質過敏症のアレルギー的側面(シックハウス症候群の検討)
Project/Area Number |
13770996
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
池田 浩己 関西医科大学, 医学部, 助手 (90288803)
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Keywords | 化学物質過敏症 / アレルギー / シックハウス症候群 |
Research Abstract |
検討方法は関西医科大学耳鼻咽喉科アレルギー外来を受診する患者の中から、化学物質過敏症様症状(いわゆるシックハウス症候群)を呈する患者21例(男性6名女性15名)に対し詳細な問診検査、視診による局所症状検査、血液生化学検査、鼻汁好酸球検査、生理機能検査として視追指標検査などを施行した。希望する症例には生活環境のホルムアルデヒド濃度の測定も行った。 ほぼ全員が眼、鼻、咽頭の刺激症状を訴えており、その他頭痛、眩最、全身倦怠感、呼吸困難、発疹などいわゆる不定愁訴が多く認められた。視診上は各部位の粘膜が非特異的に発赤している程度で著明な変化は認められなかった。12名には通年性もしくは季節性のアレルギー体質が認められた。しかし受診時に鼻汁好酸球が陽性であった症例は6例と以外と低かった。15例の患者にSTAI(状態不安特性検査)問診表を記入してもらったが全員スコアはIII以上で多くはIV、Vの範疇であった。また19例にホルムアルデヒドIgE検査を施行したが陽性例は認められなかった。症状の発現は、新築リフォーム直後から一年後までとばらついてはいるがほとんどが数カ月以内に発症していた。ホルムアルデヒド濃度はほとんどの家庭で厚生労働省の基準値である0.08ppmを越えていたが、経時的には減少傾向を認めた。研究代表者が以前に検討した研究では症状のない家屋においても室内ホルムアルデヒド濃度は基準値を超える結果であった。これは今後の我々を取り巻く環境の中で化学物質過敏症様症状が発症する可能性が少なくないことを示唆しているものと考えられる。 症状発現のメカニズムはどうなのかという点だが、アレルギーがあるから発症し易いという傾向は、今回の検討からは認められなかった。症状から類推すると感作性で発症するというよりは刺激性により感化されている可能性があるのではないかと考えられた。
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