2002 Fiscal Year Annual Research Report
一側半規管障害モデル(ウサギ)に及ぼす頸部深部受容体の影響
Project/Area Number |
13771000
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
黒木 岳人 久留米大学, 医学部, 講師 (40215091)
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Keywords | 頸部深部受容器 / 半規管眼反射 / 回転眼振 |
Research Abstract |
研究方法:研究には正常黒目ウサギ20羽を用いた。まず、無麻酔・遮眼の状態で振子様回転刺激(水平面・90度、1回/3秒)を与えた。ここで頸部を左右に45度捻転させると生じる眼振は伸側に向かう緩徐相速度は促進され、屈側に向かう緩徐相速度は抑制された。この現象は20羽すべてで見られた。次に、全身麻酔下に右乳突部を削開、外側半規管を開放し内部にシリコン片を挿入、リンパ流をブロックした。麻酔覚醒後、術前と同様に頸部を捻転させながら振子様回転刺激を与えた。 研究結果:計画時の予想通り、正頭位で右回転時に眼振が抑制され左回転時に変化がなかったものは11羽であった。しかし5羽は手術による眼振の変化は見られず、4羽は正頭位の段階で眼振がほぼ消失していたため、この9羽は記録から除外した。次に左回転時に頸部を右に捻転させると眼振は促進され、頸部を左に捻転させると眼振は抑制された。この現象は計画時の予想通りで、11羽すべてで見られた。眼振の緩徐相速度は術前とほぼ変化なかった。さらに、右回転時に頸部を左に捻転させると眼振は抑制され(術前は促進)頸部を右に捻転させると眼振は促進される(術前は抑制)と予想していたが、予想通りの結果が得られたのは6羽であった。残り5羽は頸部左捻転時に眼振は促進され、右捻転時に眼振は抑制された。眼振および頸部・四肢の動きをVTRで記録したが、眼振の振盪野、頸部・四肢の動きに術前と術後で明らかな変化はみられなかった。 考案:今回の研究で、手術により眼振の変化がみられた例があったのは間違いなく頸部深部受容器の活動が半規管自体に影響を与えていることが示唆された。しかし、手術により変化がみられた群とみられなかった群の数がほぼ同数で、このことを統計学的に断定するにはいたらなかった。
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