2001 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いた加齢性難聴原因遺伝子およびその修飾遺伝子の探索
Project/Area Number |
13771004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
吉川 欣亮 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (20280787)
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Keywords | ahl / 加齢性難聴 / マウス / コンソミックマウス / 修飾遺伝子 / マッピング / Jackson shaker |
Research Abstract |
汎用近交系であるC57BL/6J(B6)系統は加齢に伴い、約10-12ヶ月齢で高度難聴(平均75dB SPL)を発症する。この加齢性難聴を引き起こす原因遺伝子座(age-related hearing loss : ahl)が同定され、は第10番染色体にマップされた。本研究はahl遺伝子の同定、およびahlと相互作用する修飾遺伝子を探索するため遺伝学的な手法を用いて解析を行った。 ahl遺伝子の詳細な染色体の位置を明らかにするためB6マウスに加齢性難聴を発症しない近交系であるMSM系統の第10番染色体を導入したコンソミックマウス(B6-MSM^<10>)を作製した。このマウスのABRにより聴力測定を行った結果、B6に認められるような加齢性難聴は完全にレスキューされ(平均25dB SPL)、さらに、B6系統に見られる蝸牛神経細胞節の減少やコルチ器の退縮も認められなかった。次にB6-MSM^<10>にB6マウスを戻し交配することによりahl近傍の染色体領域を組換えた12系統のコンジェニックマウス作製し、聴力測定を行った。その結果、ahl遺伝子は第10番染色体のセントロメアから約22cMの位置にマップすることが出来た。 一方、内耳の神経上皮に異常を示す常染色体劣性遺伝のマウス突然変異体であるJackson shaker(js)マウスは通常ホモで先天性難聴および行動異常を示すことが明らかになっている。このjsアレルをヘテロの状態でB6および非加齢性難聴系統であるMSM、C3H/HeJに導入して聴力測定を行った。その結果、jsアレルを導入したMSM、C3M/HeJ系統にjsアレルを導入した個体では聴力に変化は認められず、野生型同様に約18ヶ月齢まで正常な聴力(平均22dB SPL)を維持していたが、jsアレルを導入したB6個体においては6ヶ月齢で高度難聴(70-90dB SPL)を発症し、B6系統より6ヶ月程度難聴の発症時期が促進された。さらに、B6-js/jsとB6-MSM^<10>を交配させることによりF_2個体を作製し、js遺伝子およびahl近傍のマイクロサテライトマーカーのPCRタイピングを行い、両者の相互作用を検討した。62頭のF_2個体を用いて解析を行った結果、js/+およびahl/ahlの状態でP=0.042の値で両者の相互作用が示唆され、さらにjs/+およびahl/+の状態においてもP=0.00026の値でjs遺伝子とahlの相互作用していることが統計学的に証明された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sekine M, Taya C, Kikkawa Y, Yonekawa H et al.: "Regulation of mouse kidney tubular epithelial cell-specific expression of core 2 GlcNAc transferase"Eur J Biochem. 268・4. 1129-1135 (2001)
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[Publications] Wada T, Wakabayashi Y, Takahashi S, Ushiki T, Kikkawa Y et al.: "A point mutation in a cadherin gene, Cdh23, causes deafness in a novel mutant, Waltzer mouse Niigata"Biochem Biophys Res Commun. 283・1. 113-117 (2001)
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[Publications] Kikkawa Y, Miura I, Takahama S, Wakana S, Yamazaki Y et al.: "Microsatellite database for MSM/Ms and JF1/Ms, molossinus-derived inbred strains"Mamm Genome. 12・9. 750-752 (2001)
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[Publications] Kamiya K, Kikkawa Y, Ishii Y, Kyuwa S, Yoshikawa Y.: "Changes in mRNA expression in mouse postnatal cochlea by differential display method"Experimental Animals. (in press). (2002)