2002 Fiscal Year Annual Research Report
難治ぶどう膜炎に対する免疫抑制剤硝子体内送達システムの開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
13771033
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
桜井 英二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30305528)
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Keywords | FK506 / 実験的ぶどう膜炎 / ドラッグデリバリーシステム / 強膜プラグ |
Research Abstract |
免疫抑制剤であるタクロリムス(FK506)の眼内徐放システムとして、生体分解性ポリマーを強膜プラグ型に成型し、FK506を含有させ、これを家兎実験的ぶどう膜炎に用い、その治療効果および毒性について組織学的・電気生理学的に検討した。 実験的ぶどう膜炎作成法も昨年度と同様で、有色家兎を用い、ぶどう膜炎発症させる抗原はMycobacterium tuberculosis H37Raを使用した。前感作として、抗原10mgを皮下注射、一週間後に同量を皮下注射し、その12日後にファーストチャレンジとしてBSSプラス0.1mlに溶解した同抗原50μgを硝子体注入した。ぶどう膜炎を持続させ、慢性化させるため、2週間後に同量硝子体注入した。ファーストチャレンジ後、16眼中8眼を無治療群として、無治療にて経過観察。8眼はFK506含有強膜プラグを挿入し治療群とした。 8週後に組織学的検を行ったところ、無治療群は著しい炎症細胞浸潤を認め、網膜は破壊されていたが、治療群では炎症細胞浸潤は軽度で、正常な網膜の構造を保っていた。また、FK706含有強膜ブラグを挿入した部位も強膜の壊死や創傷治癒の障害はみられなかった。28日後の治療群の網膜電位図ではb波の振幅の低下は認められず、FK506含有強膜プラグの網膜毒性は電気生理学的にはみられなかった。FK506含有生体分解性強膜プラグは、実験的ぶどう膜炎において、長期にわたり高い治療効果を認めた。この治療法は将来、難治性のぶどう膜炎患者の治療の一つとして選択される可能性があると考えられた。
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