2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤松 久子 東京慈恵会医科大学, 医学部・形成外科, 助手 (90328279)
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Keywords | 絞扼性神経障害 / 軸索数 / 軸索径 / 神経変性 |
Research Abstract |
ウィスター系雄ラットの鼡径靭帯を用いて、大腿神経の絞扼モデルを作成した。末梢側で切離した鼡径靭帯を大腿神経・血管束まで剥離・挙上し、鼡径靭帯を大腿神経に一回巻きつけ、靭帯どうしをナイロン糸で縫着した。術後1週から15週の絞扼部大腿神経を採取し、未処置の神経と組織像について経時的に比較した。同様の実験をウサギについても試みたが、結果が思わしくなかったため、ラットのみで実験を行った。 電顕レベルでは、コントロールに比べ7週後に軸索数が減少し、7週から15週にかけて軸索の拡大所見がみられた。軸索の数および径を経時的にみると、神経束の面積は変化がないものの、軸索数は絞扼開始後より有意に減少し、15週前後でほぼ一定数となった。軸索径は約7週後から拡大傾向を認め、13週から15週にかけて有意に上昇した。 絞扼が進むにつれて軸索の個数が減少している一方、軸索径は徐々に拡大するという興味深い結果が得られた。これは、軸索数の減少に対し残された軸索が代償的に大きくなることで、軸索輸送を補っているのではないかと考えられた。絞扼モデルの神経を採取する際、絞扼部では肉眼的にも神経、靭帯および周回組織に癒着が認められた。比較的早期より神経の変性所見がみられたことから、今後は絞扼モデル作成時の手技についてさらに検討を重ね、神経に対してより侵襲の少ない実験方法を考案していく予定である。
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