2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771078
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 泰生 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (40244941)
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Keywords | 血管形成 / 血管新生 / 血管発生 / 血管内皮 / 抜歯創 / 創傷治癒 / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
血管形成過程では,基底膜を介して互いに接触する血管内皮細胞と周皮細胞の相互作用が重要な役割を演じている.この相互作用は血管系を制御する因子群や局所の酸素分圧などの血管内外環境によって種々の修飾を受ける.現在,口腔領域の創傷治癒にともなう血管,腫瘍の進展にともない形成される血管,および血管性腫瘍について,血管形成過程と血管内外環境との関連性について検討している. 血管性腫瘍のうち口腔領域で高頻度に認められ,成因が不明である小葉状毛細血管腫(lobular capillary hemangioma)について,この病変の進展に重要なovoid cellsにおける血管新生因子のAngiopoietinに対する受容体Tie2の発現を学術論文にて報告した. 創傷治癒にともなう血管形成については,ラット上顎臼歯部抜歯創の抜歯直後から新生骨形成開始までの初期治癒過程を経時的に観察し,血管形成の開始および新生血管網の構築経過について,特に周皮細胞の動態に着目して免疫電顕的に検索した.凝血期では凝血塊周囲に基底膜と周皮細胞に囲まれた既存の血管が認められたが顕著な増殖性変化はみられなかった.肉芽組織期には窩底部を中心に線維芽細胞様細胞と共に,内皮細胞のみから構成された新生血管,周皮細胞の細胞質突起の樹枝状の増殖が多数認められた.また,抜歯窩の隣接骨髄の骨内膜に顕著な肥厚,増殖を認めた.窩側壁の残存歯根膜中の血管には明らかな増殖性変化はみられなかった.仮骨期には抜歯窩全体に多数の新生骨梁の形成が認められ,骨梁間に周皮細胞に囲まれた血管を少数認めた.以上,周皮細胞の動態が血管形成の経過を反映する有用な指標となることを学会報告した. 創傷治癒にともなう血管形成での成長因子と受容体の発現については,切歯の抜歯窩を用いWestern blottingおよびタンパク質の定量により検索し,引き続きangiogenesisとvasculogenesisの関与を追求している.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirotaka, Sato, et al.: "Expression of the endothelial receptor tyrosine kinase Tie2 in lobular capillary hemangioma of the oral mucosa : An immunohistochemical study"J Oral Pathol & Med. 31. 432-438 (2002)
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[Publications] 佐藤方信, 佐藤泰生, 他: "岩手医科大学歯学部口腔病理学教室における病理組織検査の報告 -2001年度の集計-"岩医大歯誌. 27. 109-115 (2002)
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[Publications] 佐藤泰生, 他: "抜歯創治癒過程初期における血管の形成と局在性に関する病理学的研究"日病誌. 91(1). 301 (2002)
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[Publications] 佐藤泰生, 他: "抜歯創治癒過程初期における血管形成に関する病理学的研究"岩手医科大学先進歯科医療研究センター,第3回研究成果発表会抄録集. 31 (2002)
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[Publications] 佐藤泰生, 他: "抜歯創治癒過程初期の血管形成における周皮細胞の動態"歯基礎誌. 44(5). 500 (2002)
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[Publications] 佐藤仁, 佐藤泰生, 他: "塩化タリウムSPECTの口腔癌治療効果判定における有用性"日口外誌. 48(13). 247 (2002)