2001 Fiscal Year Annual Research Report
嚢胞性線維症原因遺伝子(CFTR)の分子複合体形成による唾液腺機能制御
Project/Area Number |
13771094
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 誠 広島大学, 歯学部, 助手 (50235884)
|
Keywords | CFTR / 嚢胞性線維症 / Zinc Ring finger / MAPK / GFP |
Research Abstract |
CFTRの遺伝的機能不全症(嚢胞性線維症)は、外分泌腺機能障害・呼吸器感染を誘発する致死率の高い疾患である。本研究では、CFTRの分子複合体の形成様式と、分子間の機能制御機構を解明し、嚢胞性線維症の誘因となる分子基盤を明らかにすることを目的とした。成熟型CFTRの生成を制御する分子機構を解明するために、Cos7細胞にGFP-CFTRおよびその変異体を遺伝子導入し、発現させ、細胞内情報伝達系阻害剤の投与時や目的遺伝子導入時における、成熟型CFTRの生成量変化および形質膜移行動態を観察した。Butyrateの培養液への添加は、Cos7細胞での成熟型GFP-CFTRの生成と形質膜移行を顕著に促進したが、Rドメインを欠損するCFTRにおいては、その効果は微弱であった。Butyrateによる成熟型CFTRの生成と形質膜移行の促進はMAPKK/MEK阻害剤であるPD98059により抑制され、活性型MAPKKの遺伝子導入により増強された。ButyrateはCFTRのRドメインを介して、成熟型CFTRの生成および形質膜移行を促進し、その促進にはERK/MAPKの活性化が関与するが、さらにButyrateにより発現制御・機能制御される未知分子の関与が示唆された。従来の研究でyeast two-hybrid systemによりCFTR R-domainに接着する分子を検出し、新規遺伝子ファミリーに属する3種類の遺伝子(CRIP1、CRIP2、CRIP3)をクローニングしていたが、本研究では、さらにその分子機能の解明を試み、上述の結果との関連を精査した。CRIP1は核と細胞質に存在し、CRIP3はGolgi及びERに局在した。CRIP1、CRIP3においては、Zinc Ring Fingerを有し相同性の高いC末端領域で、CFTR R-domainに結合し、N末端領域がそれぞれの細胞内局在を決定した。Cos7細胞へのCRIP1の強発現は、成熟型CFTRの生成量を増加させた。以上より、成熟型CFTRの生成および形質膜移行が、CFTRR-domainを介する分子複合体の形成により、制御される可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)