2002 Fiscal Year Annual Research Report
嚢胞性線維症原因遺伝子(CFTR)の分子複合体形成による唾液腺機能制御
Project/Area Number |
13771094
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50235884)
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Keywords | CFTR / 嚢胞性線維症 / MAPK / zinc ring finger |
Research Abstract |
腺腔側Cl^-チャネルとして機能するCFTRの細胞内での生成は、非効率的であるが、CFTR蛋白を機能的コンフォメーションに遷移させる分子シャペロン複合体の構築要素、CFTRをユビキチン化修飾する酵素群、形質膜移行を制御する分子機構等に、未知の部分が多く、現時点では、嚢胞性線維症の治療法を開発するための分子標的を選出することが困難である。本研究において、ButyrateはCFTRのRドメインを介して、成熟型CFTRの生成および形質膜移行を促進し、その促進にはERK/MAPKの活性化が関与すること、さらにButyrateにより発現制御・機能制御される未知分子がその促進に関与することが示唆された。CFTRのRドメインがCFTRの成熟化と形質膜移行に重要な役割を果たすことが示唆されたため、yeast two-hybrid systemによりRドメイン(アミノ酸590-820)に接着する分子を検出し、新規遺伝子ファミリーに属する3種類の遺伝子(the CFTR R-domain Interacting Protein(CRIP) : CRIP1, CRIP2, CRIP3)をクローニングした。CRIP遺伝子ファミリーのC末端領域は、非常に相同性が高く、Zinc Ring Fingerを有するとともに、CFTRに結合した。細胞内で、CRIP1は主に核に、CRIP2はER・Golgi・分泌顆粒に、CRIP3はERに局在し、3遺伝子ともに、MAPKによりリン酸化修飾されることが示唆された。またMAPKによるリン酸化修飾によって、CRIP1・CRIP2の安定性と、CRIP1の細胞内局在が変化した。CRIP遺伝子ファミリーの遺伝子導入による過剰発現や、siRNAによる内在性CRIP遺伝子の発現抑制による結果から、CRIP1は成熟型CFTRの生成に促進的に、逆にCRIP2とCRIP3は抑制的に働くことが示唆された。またCRIP遺伝子ファミリーはそれぞれ、複数種のシャペロン分子と分子複合体を形成していることが、CRIPとともに免疫沈降される分子の解析により明らかになった。以上より、CRIP遺伝子ファミリーは、分子シャペロン複合体を形成することにより、成熟型CFTRの生成を制御することが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tetsuji Nakamoto: "Carbachol-induced fluid movement through mathazolamide-sensitive bicarbonate production in rat parotid intralobular ducts"European Journal of Cell Biology. 81. 497-504 (2002)
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[Publications] Tetsuji Nakamoto: "Forskolin-induced clearance of the fluorescent dye sulforhodamine from rat parotid intralobular duct lumen"Journal of Membrane Biology. 190・3. 189-196 (2002)