2001 Fiscal Year Annual Research Report
電離放射線によるDNA障害修復過程における複製制御酵素Cdc7の動態解析
Project/Area Number |
13771115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
角 忠輝 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80284701)
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Keywords | Cdc7 / Dbf4 / 細胞周期 / 放射線障害 / UV / 細胞分化 |
Research Abstract |
今年度は電離放射線および紫外線によるDNA障害の際に認められる、内在性のヒトCdc7並びにその調節因子であるDbf4の動態解析を、細胞分化と比較しつつ研究を進めた。 1.使用した細胞株は(1)ヒト白血病細胞株(U937,HL60,THP-1)、(2)マウス前脂肪細胞株(NIH3T3)、(3)ラット副腎髄質褐色細胞腫由来細胞株(PC12)である。 2.検討項目 (1)上記1の細胞に対してノーザンブロッティング法によるCdc7のmRNA発現解析を行ったところ、分化誘導の際その発現は経時的に顕著に減少するのに対して、電離放射線などによるDNA障害で経時変化は見られなかった。 (2)ポリクローナル抗体によるCdc7並びにDbf4蛋白発現解析を行った。細胞は刺激後順次採取し、NP-40法により核と細胞質に分画後、ウェスタンブロッティング法により細胞内のCdc7並びにDbf4の分布を観察したが、分化誘導時特に核分画において顕著にタンパク発現が減少したのに対して、DNA障害を与えると数時間で一過性に核分画において分布の上昇が見られた。 (3)Cdc7/Dbf4酵素活性測定を行った。マウスMCM2蛋白を基質とした酵素活性のアッセイを行った。このMCM基質はCdc7/Dbf4によりリン酸化されると、SDS-PAGE上でより分子量の多いバンドへとシフトした状態で検出できた。MCM基質のリン酸化活性は刺激後数時間で一過性に上昇し、その後経時的に漸減した。 (4)細胞周期解析を行った。DNA障害刺激後の各細胞の細胞周期調節の状態を調べるため刺激後時間を追って細胞を採取し、フローサイトメトリーにて解析を行った。すべての細胞系において分化誘導時にはその細胞周期プロファイルはG1期に収束したのに対し、白血病細胞系では電離放射線照射でG2/M期に収束した。
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