2001 Fiscal Year Annual Research Report
高切削能力を有するEr,Cr:YSGGレーザーによる根管拡大に関する研究
Project/Area Number |
13771139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松岡 英美 昭和大学, 歯学部, 助手 (40286860)
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Keywords | Er,Cr:YSGGレーザー / 根管拡大 / ハイドロキネティックシステム / デブリス |
Research Abstract |
本実験ではハイドロキネティックシステムをもつEr,Cr : YSGGレーザーによる根管拡大の可能性を探り、照射条件、方法を検討した。ストレートな単根管を用い、出力は2W、20Hzとし、照射方法としては、根管の基準号数より使用するファイバーチップを決定した後、そのファイバーチップを根管口より挿入し、2mm幅程度の上下動を加えながら根管壁に添わせて円を描くように若干の垂直的な力を加えて根尖方向に進めていくものとした。直径600μm、400μmのファイバーチップの場合は、設定した作業長まで挿入できた時点で照射は終了とし、直径320μm、200μmのファイバーチップを使用した場合は、同様に作業長まで挿入した後5秒間そこで照射を行った後、根管壁に添わせながら円を描くようにして根管口までファイバーチップを引き上げて照射を終了とするのが有効であった。作業長は3mm程度の安全域を設定する事で、根尖孔を破壊することはなかった。レーザー照射の全行程で根管はwater sprayにて湿らせた状態に保った。レーザー照射後のSEM像より、デブリスが除去され象牙細管は開口した状態で、塑像間や均一性に多少の違いはあるが、層板状、うろこ状を呈している根管壁面が観察された。しかし、いくつかのサンプルではレーザー照射が可能と考えられる、ファイバーチップの長さと安全域の範囲内であっても、レーザー光の届いていない部位は存在しており、その部分には歯髄組織やデブリスの残存が確認された。更に、出力設定やファイバーサイズに関係なく、彎曲のある部位では炭化像が観察されたり、根尖孔の大きな根ではレーザー照射時に根尖孔より水の押し出しが存在した。以上よりEr,Cr:YSGGレーザーは、根管拡大に応用可能であると結論を下すことができるが、数本のファイバーチップを組み合わせて使用する方法の検討や、どの程度の彎曲までは拡大可能かなど、更なる実験が必要である。
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