2001 Fiscal Year Annual Research Report
咬合異常に起因する睡眠障害の特徴とその発症機序に関する研究
Project/Area Number |
13771154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 智昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50312591)
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Keywords | 睡眠 / 咬合異常 / 除波睡眠段階 |
Research Abstract |
本年度は東北大学歯学部附属病院の来院患者のなかで、咬合異常に対する治療の必要性が認められ、かつ不眠症の疑いのある者5名を抽出し、咬合治療前後の夜間睡眠計測を行った。なお、すべての患者には本研究の目的・内容について十分な説明を行い、研究参加への同意を得た。 睡眠計測は治療開始前ならびに治療終了1ケ月後とし、それぞれ3日間ずつ行った。携帯型多用途計測装置(ディジテックス研究所社製)を用い、脳波、心電図、咬筋ならびにオトガイ筋筋電図、眼電図、体位、体動を記録した。分析ではヒプノグラム(睡眠経過図)を作成し、これをもとに各種睡眠変数を算出した。 その結果、治療の終了した2名のうち、義歯の装着を行った被験者Aでは、治療開始前と比較して治療終了後で入眠潜時の減少、中途覚醒の減少、徐波睡眠段階(S3、S4)出現率の増加が観察され、寝付きがよく、深い眠りが得られるようになった。また、騨民時脳波のスペクトル解析により、徐波パワーが睡眠の前半に集中するようになったことからも睡眠の質の向上が観察された。 低位咬合と下顎偏位の改善を行った被験者Bにおいても同様に、治療終了後には徐波睡眠階出現率の増加が観察された。さらに、睡眠中の体動の減少、夜間ブラキシズムに由来すると推察される咬筋筋活動時間の減少も同時に観察された。 以上の結果、治療の終了した2名の被験者は、ともに咬合異常の是正によって徐波睡眠段階出現率の増加が認められ、咬合と睡眠との密接な関連が示唆された。
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