2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白吸着能と抗菌性をもつキトオリゴ糖の接着領域への応用に関する研究
Project/Area Number |
13771173
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
棚川 美佳 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (60325660)
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Keywords | キトサン / プライマー / 抗菌性 |
Research Abstract |
生物由来物質であるキチン・キトサンの有する,蛋白吸着能,細菌の増殖抑制能といった特質を歯科補綴領域に応用し,象牙質接着能,抗プラーク・抗齲触性等を有する新しい対象牙質用接着材料を開発する事を目的として本実験に着手した.今回,特にキトサンが,水,及び歯科において頻用される酸希釈液に良く溶解することに着目し,象牙質塗布用プライマーとしての適用を試みる事とした.プライマーの溶媒としては,頻用される水,アルコール,アセトン等を考え,セルフエッチングプライマーに用いる接着能を有する各種機能性モノマーは本実験からは除外した.また,合着用セメントの液成分としても使用されるポリアクリル酸についても評価対象に加える事とした.まずイオン交換水を溶媒とし,スーパーボンドC&Bを用いた引張り接着試験により牛前歯唇側象牙質を10%クエン酸水溶液によるエッチング処理後の歯面に対するキトオリゴマー溶液の影響を評価した.またキトオリゴマー溶液塗布後の牛象牙質表面のAFM観察を行った.さらに溶媒をポリアクリル酸に変更し,同様にスーパーボンドC&Bを用いた引張り接着試験を実施した.また,プライミングという事から4-META/MMA系のスーパーボンドより,他のいわゆるコンポジット系接着システムに組み込む方がより効果をあらわす可能性もあると考え,パナビア及びクリアフィルの接着システムについても,エッチング処理後の牛象牙質表面にキトオリゴマー溶液を塗布し引張り接着試験を実施した.今後さらにキトオリゴマーの至適濃度や溶媒の種類については引き続き検討していく必要があるが,これまでの結果により,キトオリゴマーの歯科接着領域への応用の可能性が確認された.
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