2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771181
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高間木 祐一 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (60326692)
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Keywords | 総義歯 / 軟性裏装材 / 下顎位 / 咀嚼筋活動 |
Research Abstract |
長期的な軟性裏装材の使用が総義歯患者の下顎位や顎筋活動に及ぼす影響を明らかにする目的で,5名の総義歯患者に2つの異なった厚さ(1.4mm,2.8mm)の軟性裏装材(Molloplast-B^【○!R】)を付与した義歯を装着し,強弱のタッピング運動を行わせ,タッピングポイント,収束性,咀嚼筋活動,および衝撃加速度を分析項目として3ヶ月間の観察を行った結果,以下の結論を得た. 軟性裏装材を使用することで,1.タッピングポイントは有意に前方に偏位し,3ヶ月間における経時的変化は認めなかった.また1.4mm厚より2.8mm厚の偏位が大きかった. 2.タッピングポイントの収束性は有意に低下し,前後的方向かつ2.8mm厚で著しかった. 3.積分電位は,2.8mm厚の側頭筋後部において,タッピングの強さに関係なく有意に減少し,また2.8mm厚の側頭筋後部の積分電位のCV値は増加した. 4.オトガイ部における衝撃加速度は,Strong tapping, Light tappingとも軟性裏装義歯で有意に減少したが,厚さの違いには有意差を認めなかった. 5.衝撃加速度と積分電位の関係は,2.8mm厚の咬筋においてStrong tappingでは正の,Light tappingでは負の有意な相関を認めた.また経時的にその傾きが弱くなり,3ヶ月後には負の相関を認めた. 以上より,総義歯への軟性裏装材の付与は下顎位の偏位や咀嚼筋活動の減少を招くことから,咀嚼系に有益とは言えず,長期的な使用には注意が必要であることが示唆された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高間木 祐一: "総義歯装着者における軟性裏装材の機能的効果に関する研究"岩手医科大学歯学雑誌. 24. 16-27 (1999)
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[Publications] 高間木祐一, 虫本栄子, 田中久敏ほか: "総義歯症例に用いられる軟性裏装材の功罪に関する研究"日本補綴歯科学会雑誌. 44. 467 (2000)
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[Publications] 高間木祐一, 虫本栄子, 田中久敏: "総義歯軟性裏装材の応用が咀嚼系に及ぼす経時変化"日本補綴歯科学会雑誌. 44巻104回特別号. 105 (2000)