2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経再支配と神経再生に関与する血小板血漿<PRP>内細胞成長因子の解明
Project/Area Number |
13771230
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
高田 訓 奥羽大学, 歯学部, 助教授 (40254875)
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Keywords | 神経再支配 / 神経再生 / PRP / 組織化学 |
Research Abstract |
研究目的:血小板血漿(PRP)が神経移植後の治癒経過に及ぼす影響を検索する。 実験方法:体重2.5〜3.0kg、雄の日本白色種ウサギを用い、まず耳静脈からの脱血によりゲル化PRPを作製した。神経切断再縫合群;咬筋膜上に顔面神経を露出後、咬筋前縁部で切断し、直ちに10-0ナイロン糸により神経周膜上膜縫合を4糸行った。縫合部にはゲル化PRPマトリックスを置き縫合部を保護した。自家神経移植群;顔面神経頬骨耳筋枝を咬筋前縁部から末梢側に10mm切断し、大耳介神経を移植した。縫合部は神経周膜上膜縫合を4糸行い、ゲル化PRPマトリックスにて保護した。 検索方法:軸索数、末梢筋組織を組織学的、組織化学的に検索し、対照群、神経切断再縫合群、自家神経移植群の結果について経時的、定量形態学的に検索した。 実験結果:ゲル化PRPの作製法では、耳静脈より90ml/kgを脱血し、遠心分離より中間層のPRPのみを抽出し、アルギン酸ナトリウムを加えゲル化PRPを作製した。このPRPの血小板数は90%以上の回収率(成分の90%以上が血小板)を再現できた。神経切断再縫合群、自家神経移植群ともに軸索数は術後4週で最少となった。末梢筋組織は術後6週でType2C線維が両群ともに最も多く出現した。両群ともに術後8週〜12週で軸索数および筋組織の回復が見られ、以前に実験者らがゲル化PRPを使用せずに行った結果より1〜2週回復経過が早い結果となった。また、神経縫合部の肉芽増殖や神経周囲の炎症性細胞浸潤もほとんど見られなかった。 考察および展望:血小板中には線維芽細胞の増殖やコラーゲン合成に加え、神経線維の成長因子や増殖活性が認められると考えられる。今後は、HRPやWGA-HRPの順行性輸送による脳幹への誘導能を検索することで、知覚神経の検索も可能となる。
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