2001 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒による口腔内常在菌叢の変化ならびにアセトアルデヒドの発癌機構に関する研究
Project/Area Number |
13771234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
野村 武史 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (60328268)
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Keywords | 飲酒 / 口腔癌 / アセトアルデヒド / ALDH2 / 疫学調査 / 培養細胞 / 移植癌 |
Research Abstract |
飲酒による口腔癌の発癌メカニズムとして我々は、アルコール代謝産物であるアセトアルデヒドが直接口腔粘膜上皮に接触し、悪性転化するものと仮説し実験を開始した。 第一段階として我々は被験者の抽出を正確に行うため、あらかじめインフォームドコンセントを得た健康な同大学職員121人に対し、アンケート調査をおこない、口腔内の清掃度、喫煙の有無、飲酒習慣について調査した。その結果常習喫煙率46%、常習飲酒率が28.9%であった。またALDH2遺伝子型をDNA産物より解析し、正常型66.6%、ヘテロの欠損型30.1%、ホモの欠損型3.3%であることを確認した。今後これら被験者の中から(1)非喫煙者、(2)口腔の清掃状態が良好な者、(3)ALDH2正常型である被験者を抽出し、常習飲酒群と非常習飲酒群における飲酒によるアセトアルデヒド濃度ならびに常在菌叢を解析する予定である。 一方培養細胞を用いてアセトアルデヒドによる悪性癌化能を測定する目的で、まずマウス口腔扁平上皮癌由来の細胞株SCCVIIとヒト口腔扁平上皮癌由来の細胞株SAS,HSC-3,HO-1-N-1を入手し、培養を開始した。そしてこれらin nitroにおける培養の基礎は確立した。またSCCVIIについてはマウス咬筋内に移植し、癌組織を形成するin vivoの系を確立した。この際、同腫瘍は顎骨を吸収、浸潤するなど極めて悪性度の高い性質が認められたため、マイクロCT、免疫染色、RT-PCRを用いてサイトカインの発現を解析し、平成13年度癌学会で新たな口腔癌モデルとして発表をおこなった。またヒト健常線維芽細胞の培養樹立にも着手し、これらの細胞株をもちいたアセトアルデヒド投与実験を開始し、至適投与量および投与期間の調整を現在検討中である。
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