2001 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ヒト顎関節モデルにおける関節頭偏位が惹起する生体力学的応答
Project/Area Number |
13771249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
鷲海 美帆 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (30301691)
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Keywords | 下顎骨移動術 / 顎矯正手術 / 有限要素法 / 下顎頭変化 / OA / 骨変化 |
Research Abstract |
下顎移動術後は理論上、何らかの下顎頭の位置変化を惹起し、この結果、短期・長期的に生じるであろうリモデリングを含めた手術の影響を精査することは重要であるが、これらの変化は個人差が多く未だ明らかではない。一方Arnett, Wらは、自験例とほかの論文からの引用例を用いて種々の状況証拠から、顎矯正手術術後に内方、外方や前方、後方への下顎頭の偏位が起こり、結果として顎関節部の重篤な骨変形を来たしやすいと報告しているが、その科学的な証明は見当たらない。これらの解明の一助とするために有限要素法を用いたヒト顎関節のモデルを使った本研究を計画した。本法を応用することにより、患者の個体差、術者の技量、筋肉などの条件を除外でき、純粋に下顎頭、関節円板および関節包、下顎窩からなるが顎関節構成体に対する下顎頭の位置移動が及ぼす影響を詳細に検討することが可能となる。また、骨変形との関連が強いと考えられている剪断応力やvon Mises相当応力、圧縮応力の分布様式を観察、検討することで、今後、臨床においても望ましい内外側骨片間の固定状況が明らかになるものと考えられている。 平成13年度には、健常者(正常顎関節)のMRI撮影および正常顎関節モデルの作成を行い、顎関節の前頭断、矢状断画像についてそれぞれの三次元有限要素モデル(正常顎関節、以下正常モデル)を作成した。次いで、三次元有限要素法解析プログラムCOSMOS/M Ver.1.71(S.R.A.C.杜、当講座所有)を用いて情報を、ハードウェアP5-133XL(GATEWAY2000社、当講座所有)に入力した。また、上下関節腔に相当する間隙にはすべり要素を設定することにより、機能圧を与えた場合に円板のすべり移動を可能とし、生体と同様の運動を再現した。解析に使用する機能圧の大きさ、角度を選定するため、正常顎関節モデルの下顎窩皮質骨表層、下顎頭皮質骨表層、下顎頭皮質骨、海綿骨境界層においての応力値を測定。これにより求められた機能圧、角度条件をハードウェアに再入力、解析し、骨変化に影響を及ぼすと考えられる主応力、相当応力、剪断応力などの評価した。これらの結果を分析し、平成14年度中に報告予定である。
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