2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性菌のシステインプロテアーゼを標的としたDNAワクチンの開発
Project/Area Number |
13771257
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00303983)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / DNAワクチン / システインプロテアーゼ / マウスモデル / 鉄獲得機構 |
Research Abstract |
歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisのリジン特異的システインプロテアーゼ(KGP)は,プロテアーゼとしての機能とヘモグロビン結合タンパクとしての機能を併せ持ち,本菌の増殖および病原性発揮に重要な役割を果たしていると考えられる.本研究では,KGPのプロテアーゼドメインと,P.g.のもう一つの主要なプロテアーゼであるアルギニン特異的システインプロテアーゼ(RGP)のプロテアーゼドメインを標的とした2種類のDNAワクチン,pSecTag2A/kgpcedおよびpSecTag2B/rgpcdを作製し,これらのDNAワクチンの抗原性とP.g.感染に対する防御効果をマウスモデルを用いて比較検討した.BALB/cマウスにそれぞれのDNAワクチンを週1回連続4週筋肉内注射し,7日おきに採血して血清中の抗原特異抗体価をELISA法により調べた.その結果,KGP特異抗体価はDNAワクチン初回接種日より3週目でほぼプラトーに達したが,RGP特異抗体価は4週目でKGPのそれの70%の上昇しか示さなかった.このことから,kgpDNAワクチン(pSecTag2A/kgpcd)は,rgpDNAワクチン(pSecTag2B/rgpcd)よりも高い免疫原性を有することが示された.次に,kgpDNAワクチンによって誘導された抗KGPcD IgG抗体がP.g.とヒトヘモグロビンとの結合に及ぼす影響を調べたところ,同抗体による結合阻害と,それに伴うP.g.の増殖遅延が認められた.さらに,マウスへのP.g.感染実験において,kgpDNAワクチンによる明確な感染防御効果が得られた.以上のことから,KGPはP.g.の鉄獲得のみならず,病原性の発揮においても重要な役割を果たしており,感染防御における標的分子として有効であることが示された.
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[Publications] Kuboniwa, M., A.Amano, I.Nakagawa, S.Shizukuishi, S.Hamada: "Specific Antibodies to Porphyromonas gingivalis Lys-Gingipain by DNA vaccination Inhibit Bacterial Binding to Hemoglobin and Protect Mice from Infection"Infection and Immunity. 69・5. 2972-2979 (2001)