2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌が動脈硬化症に関与するメカニズムの解明と予防法
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13771276
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20301442)
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Keywords | P. gingivalis / endothelin-1 / 歯周病原性細菌 / 動脈硬化 / endothelin-converting enzyme / pepO |
Research Abstract |
我々は成人性歯周炎の原因菌の一つであるPorphyromonas gingivalis (P. gingivalis)が産生するプロテアーゼ(PgPepO)が血管内皮由来の収縮因子の一つであるendothelin-1 (ET1)の産生を触媒する酵素であるendothelin-converting enzyme (ECE1)と遺伝子構造的に相同性が高く,類似した性質を有していることを明らかにした(FEBSLett. 460 : 139-144, 1999).最近,様々な報告により,ET1は,動脈硬化性血管病変の形成とならび,炎症性病変に対しても関与していることが明らかとなってきた.我々の研究においても,上皮細胞の一つであるHep-2において,P. gingivalisの感染によりET1のタンパク質レベルでの発現が上昇することを明らかにした(Crin. Sci. 103 : 3275-3315, 2002).一方,我々は歯周炎患者から採取した炎症性の歯周組織中の上皮細胞においても,ET-1が強く発現しており,口腔上皮細胞KB cellにおいても,P. gingivalis感染によりET1のの発現が増加するすることを明らかにした(J Periodont Res. in press, 2003). PgPepOがこのような現象にどう関わっているかは,現段階では明らかになっていないが,PgPepOは菌体外に分泌されることを,ECE1のモノクロナール抗体を使って確認しており,歯周炎の発症に何らかの影響を与えていることが推測される.現在,PgPepOタンパクに相当する遺伝子を組み替え,PgPepOの分泌ができないミュータント(PgPepOミュータント)を作成し,そのミュータント株を使い血管内皮細胞HCAECにおけるET1の発現の違いを調べている.その結果,野生株のP. gingivalis感染刺激と比較し,ミュータント株による感染刺激によってHCAECからのET1の分泌量が減少する傾向が認められ,P. gingivalisが有するPgPepOが血管内皮細胞からのET1の分泌に影響を与えている可能性が明らかとなった.しかしPgPepOの動脈硬化症に関与を示すエビデンスを得るためには,今後より一層の詳細な研究が必要と考えている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamamoto E, Awano S, Koseki T, Ansai T, Takehara T: "Expression of Endothelin-1 in Gingival Epithelial Cells"J Periodont Res.. (in press). (2003)
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[Publications] Carson JA, Ansai T, Awano S, Yu W-X, Takehara T, Turner AJ: "Characterisation of PgPepO. A Bacterial Homologue of ECE1"Clin Sci. 103. 905-935 (2002)
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[Publications] Ansai T, Yamamoto E, Awano S, Yu W-X, Turner AJ, Takehara T: "Effects of periodontopathic bacteria on the expression of endothelin-1 in gingival epithelial cells in adult periodontitis"Clin Sci. 103. 3275-3313 (2002)
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[Publications] Awano S, Gohara K, Kurihara E, Ansai T, Takehara T: "The relationship between the presence of periodontopathogenic bacteria in saliva and halitosis"Int Dent J.. 52. 212-216 (2002)
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[Publications] Awano S, Ansai T, Kusaba A, Koshimune S, Yamamoto E, Koseki T, Takehara T: "Levels of interleukin-8 and nitrite in the saliva of patients with peiodontitis"Dentistry in Japan. 38. 89-91 (2002)