2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771293
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河合 利方 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30308788)
|
Keywords | 歯肉増殖 / 抗てんかん薬 / 重症心身障害者 |
Research Abstract |
障害を有する患者とくに重症心身障害者の合併症としては,てんかんが最も多く見られる疾患である.てんかんを有する患者が服用する抗てんかん薬の歯科領域での副作用としては,薬物性歯肉増殖があげられる.この副作用の増悪の要因や成因に関しては,未だ明らかとなっておらず,その予防法に関しても確立していない. そこで今回の検討では,重症心身障害者施設に入所している106名を対象に口腔内診査および小児科医の協力のもとに薬剤血中濃度を調査し,歯肉増殖との関連について検討した. 結果 1.抗てんかん薬服用者は,非服用者に比べ有意な差を持って歯肉増殖発症率が高かった. 2.抗てんかん薬のうち,フェニトインの服用者において歯肉増殖の著しい者が認められ,他剤に比して有意性の高いことが認められた. 3.フェニトインの血中濃度と歯肉増殖程度との関連において,正の相関が認められた. 4.バルプロ酸ナトリウム血中濃度と歯肉増殖程度との関連において,正の相関が認められた. 5.歯肉増殖に影響を及ぼす要因の強さを検討するために,多因子分析を行った結果,歯肉増殖に最も強い影響を持つのはフェニトインの服用であったが,助長因子として口腔衛生状態(歯垢,歯石の有無),フェノバルビタールの服用であることが示唆された. また,今回の検討より,抗てんかん薬服用とくにフェニトインの服用により歯肉増殖が発症しやすくなることが明らかとなり,その助長因子として歯垢および歯石の付着があげられたことから,これら助長因子の除去による変化について検討を行った. その結果,歯肉増殖程度に軽減が認められたが,変化の認められない症例も存在していた.
|