2002 Fiscal Year Annual Research Report
Er:YAGレーザーによる耐酸性層の物理化学的特性
Project/Area Number |
13771294
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
外山 敬久 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70329621)
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Keywords | Er:YAGレーザー / 耐酸性層 / 定性分析 |
Research Abstract |
レーザーによる耐酸性層の形成は,齲蝕予防の臨床応用において有効な手段と考えられる.しかしEr:YAGレーザーで窩洞形成を行い,現在のコンポジットレジンの接着システムにおける表面処理法を用いると,形成された耐酸性層がその効果を阻害することが考えられる.そこでEr:YAGレーザーをより効果的に臨床応用していくために,本研究では蒸散歯質の酸による形態変化と化学的特性を検討した. レーザー発振装置はEr:YAGレーザー(Erwin,モリタ社製),実験歯は新鮮抜去ヒト大臼歯を用いた.照射条件はコンタクトチップ先端出力25,50,100,150mJ/pulse,繰り返し速度10pps,供給水量25ml/minの注水下とした. コンタクトチップを実験歯のエナメル質頬側面に垂直になるように接触させ,レーザー照射を行った.照射面にネイルバニッシュにて一定の面積(window)を規定し,HCl水溶液を滴下,1分間脱灰した.脱灰した歯質に対し,走査電子顕微鏡にて照射歯質と照射後さらに酸処理した歯質の形態観察を行った.また同部位を,エネルギー分散X線分光法(EDX)にて元素組成分析を行った. その結果,Er:YAGレーザーを照射した歯質では微細な凹凸を伴う脆弱な構造物が認められた.この構造物は出力が高くなるほど顕著にみられた.照射面にさらに酸処理した場合では,微細な構造物はやや滑らかな形態となるが,除去することはできなかった.この形態は接着システムを阻害すると思われる.また同部位のEDXではCaとPの定性分析を行ったが,試料間に顕著な差は認められなかった.これらより本レーザーを照射した歯質は,化学的な変化が生じた可能性は低く,形態学的な変化が大きいと考えられる.よって照射後の歯質には,より浸透性の高い接着システムを用いるか,脆弱な構造物を機械的に除去する方法を検討する必要があると考えられる.
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