2001 Fiscal Year Annual Research Report
Ca摂取状態が歯周組織に与える影響―組織変化および構成元素の分布変化について―
Project/Area Number |
13771302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荘司 佳奈子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90302158)
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Keywords | Ca摂取 / 骨塩量 / 妊娠授入 / 歯槽骨吸収 |
Research Abstract |
Ca摂取状態の歯周組織、特に歯槽骨に与える影響について検討した。 実験動物は雌性ラットを用い、これらを3群に分けて、与える飼料中のCa量を変化させた。 さらに、各群を妊娠の有無により2つに分け、歯槽骨の骨塩量および歯周組織の状態を検索した。上記と同様の実験をゴム輪挿入により実験的歯周炎を惹起させた歯周組織についても検索をおこなった。 ハイドロキシアパタイトを基準尺として下顎骨の骨塩量を測定したところ、健全な歯周組織でも、炎症のある歯周組織でも、摂取したCa量に依存して骨塩量の減少がみられた。骨塩量の減少は、妊娠・授乳により促進された。組織所見ではCa摂取が減少するにつれて、歯槽骨内面からの吸収による骨の非薄化が顕著であった。各群における軟組織の変化の相違は明らかではなかった。さらに、炎症を惹起した歯周組織では、機械的刺激による歯槽骨頂部の吸収および炎症性細胞浸潤をともなう繊維の走行の乱れが著明であった。健全な歯周組織の場合は、歯槽骨頂部の吸収による歯槽骨の高さの減少はみられなかったのに対し、炎症を伴う歯周組織の場合には、歯槽骨内面からの吸収による骨の非薄化のみならず、歯槽骨の高さの減少が、Ca摂取状態に依存して顕著であった点が特記すべき点である。 以上の結果より、1)Ca摂取状態が不十分である場合には、歯槽骨の減少が起こり妊娠・授乳がその修飾因子となりうること、2)特に歯周組織に炎症がある場合その程度が促進されることが示唆された。
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