2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを用いたヒト有細胞セメント質由来細胞特異的遺伝子発現パターンの解析
Project/Area Number |
13771309
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 松男 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター, 助教授 (50332896)
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Keywords | セメント質 / DNAチップ / 遺伝子発現 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
平成14年度は、セメント質由来細胞および正常骨芽細胞で発現している遺伝子の発現について、配列既知のプローブ遺伝子を結合させたメンブレン型DNAアレイにより検出・比較した。遺伝子発現の包括的解析のため、セメント質由来細胞および正常骨芽細胞からトータルRNAの分離を行った。正常骨芽細胞に関しては、骨芽細胞分化のマーカーであるアルカリフォスファターゼ遺伝子、オステオカルシン遺伝子の発現を指標に判断し、前骨芽細胞から骨芽細胞へ分化段階であることが推察された。ヒト有細胞セメント質由来細胞に関しては、アルカリフォスファターゼ遺伝子の発現は骨芽細胞に比較すると低いことが確認された。 それぞれの細胞から分離したRNAサンプルを33P-ATPで標識し、イメージアナライザーを用いて画像解析を行ったところ、約1100種類のうち、40種類の遺伝子について発現様式に差が認められた。通法に従いPCR法によりDNAアレイ解析の結果を確認したところ、セメント質由来細胞ではIGFBP2の発現が認められず、一方で正常骨芽細胞では強いシグナルを検出した。検討対象を広げ、同意を得た患者口腔内から採取した歯槽骨骨芽細胞、顎骨骨細胞とも比較検討したところ、やはり骨由来細胞ではIGFBP2の発現が認められ、IGFBP2がセメント質由来細胞と骨組織を構成する細胞との識別マーカーに利用できる可能性が示唆された。 さらに、セメント質由来細胞、正常骨芽細胞、歯周組織より分離した歯根膜細胞、骨膜細胞、歯肉線維芽細胞、さらには免疫系細胞株で、セメント質形成をはじめ硬組織形成に深く関与すると考えられているGDF-5に対する検討したところ、歯根膜細胞やセメント細胞でプロテオグリカンの産生が増え、Bリンパ球系細胞でアポトーシスが誘導されることが判明し、これらは各細胞での遺伝子発現パターンの多様性を反映するものと推察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Matsuo Yamamoto: "Effects of recombinant human growth/differentiation factor-5 using in vitro and in vivo experiments"Dentistry in Japan. (in press). (2003)
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[Publications] T.Nakahara: "Growth/differentiation factor-5 induces growth arrest and apoptosis in mouse B lineage cells with modulation by Smad"Cellular Signalling. 15. 181-187 (2003)