Research Abstract |
移植宿主の加齢と骨形成因子(Bone Morphogenetic Protein:以下BMP)の骨誘導能との関係を検討するため,老化促進モデルマウス(SAM)を用い,そのライフスパンの中で異なる月齢のマウスにBMP移植実験を行ないin vivoでの新生骨誘導量を計測した。 具体的には,1.実験に使用する天然精製BMPの作成 牛皮質骨より6M Urea/0.5M CaCl2により抽出クエン酸透析,カラム精製を行なった。 2.移植試料 作成したBMP移植のためにゼラチンをキャリアとする移植用複合体を作成,マウス大腿部筋膜上へ移植,対照としてBMPを含まないキャリアのみ移植のマウスを用いた。 3.動物実験 京都大学より恵与された老化促進モデルマウス(SAMP8)を当施設で繁殖させ,目的にあった加齢状態を作り実験に使用した。 SAMP8のほぼ寿命と考えられる11ヵ月齢まで移植を行ない,その中で異なる月齢SAMP8は1,2,4,6,8,10,11ヶ月齢(以下1,2,4,6,8,10,11M)の計7群(各n=18,27,14,20,16,21,11),合計127匹を使用した.マウス大腿部筋膜上に移植を行ない,移植前、移植1,2,3週後に血液を採取,血清ALP,Ca, P濃度を測定した後,3週後に屠殺し,マウス大腿部の軟X線写真を撮影した.撮影された軟X線写真像を使用し,コンピュータ画像解析により新生骨誘導量を測定,その特長である促進老化とのBMPによる新生骨誘導量との関係を検討した. その結果,新生骨誘導はすべての群において観察され 6M以下の月齢マウスまでは,従来の報告と同様に新生骨誘導量は加齢にともない減少したが,さらに老化の進んだ8M以上の高齢群において新生骨誘導量は増加する傾向を示した.
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