2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン酸・遷移金属錯体複合触媒の開発と新規ヘテロ原子化合物の合成
Project/Area Number |
13771323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有澤 美枝子 東北大学, 大学院・薬学研究科, その他 (50302162)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 付加反応 / スルホン酸 / ホスフィン / 1,3-ジエン / 1,2-付加体 / アルキルホスホニウム塩 / ヘテロ元素化合物 |
Research Abstract |
遷移金属触媒とスルホン酸を組み合わせると炭素一炭素不飽和化合物へのホスフィンの付加反応が著しく促進されることを見出した.このような複合触媒系は従来ほとんど検討が行われていない.本研究の目的はこの方法論の一般性を検討するとともに,新しいヘテロ原子化合物合成のための触媒反応を開発するものである.すでにこの触媒を用いてアセチレンとアレンへのホスフィンの付加反応が位置および立体選択的に進行することを明らかにしている.今回共役ジエンへの付加反応を検討した結果,ホスフィンと水素がそれぞれ1,3-ジエンの1位と2位の炭素に選択的に付加したアルキルホスホニウム塩を高収率で与えることがわかった(ami-Markovnikov modc).ここで,(E)-1,3-ジエンは0℃でホスフィンが付加するのに対し,(Z)-1,3-ジエンではより高い温度が必要である.この反応性の差を利用して,1,3-ジエンの異性体混合物から純粋な(Z)-ジエンを分離することができた.(Z)-ジエンの立体選択的合成は一般に容易ではないので,本法は(E/Z)-ジエンから(Z)-ジエンを単離する有用な物質供給法であると言える.また,通常遷移金属触媒によるジエンへの求核剤の付加は,多くの場合π-アリル中間体を経由して1,4-付加体を与えるのに対し,本法ではanti-Markovnikov配向の1,2-付加体が選択的に生成する点で反応機構的にも興味深い.アルキルホスホニウム塩は従来ハロゲン化アルキルとホスフィンとの置換反応で合成されていた.これをアルケンへの付加反応で合成できれば,合成化学的な意義は大きいと考えられる.今後は,単純なオレフィンへの付加反応を検討するとともに、種々のヘテロ元素化合物の不可反応に発展させたい.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Meiko Arisawa, Rhohei Momozuka, Masahiko Yamaguchi: "Rhodium Catalyzed Anti-Markovnikov Addition of Triphenylphosphine to 1,3-dienes a Novel Method to Separate Pure(Z)-1,3-Alkadienes from Isomeric Mixtures"Chemistry Letters. (印刷中). (2002)